アルキド樹脂の脂肪酸基中の不飽和二重結合を利用して、ビニル型の不飽和モノマーで変性することが出来ます。
用いられるモノマーは。スチレン、ビニルトルエン、メタクリル酸メチルその他アクリル、メタクリルエステルなどで、これらのモノマーで変性することによって、速乾性、耐水性その他の特徴を持った樹脂が得られます。
(1)スチレン化アルキド樹脂
スチレンモノマーで変性されたアルキド樹脂は、速乾性であり、耐水、耐アルカリ性に優れ、光沢保持性、耐候性も良いです。欠点としては、熱可塑性であり、油脂を溶解するために芳香族炭化水素溶剤のようなかなり強力な溶剤を必要とし、反面空気乾燥した塗膜は、耐溶剤性に弱く、塗り重ねする場合には、リフティング(ちぢみを生じること)する傾向があります。したがって、一回塗りで終わる上塗り塗料や、産業機械、什器などの塗装仕上げに用いられます。
(2)ビニルトルエン化アルキド樹脂
前項のスチレン化アルキド樹脂は、溶剤として強力な芳香族炭化水素溶剤を必要とし、ミネラルスピリットのような脂肪族炭化水素系溶剤には溶けにくい欠点があります。これに対して、ビニルトルエン化アルキド樹脂はミネラルスピリットに溶かすことが出来ます。また、ビニルトルエンは置換基としてメチル基を持っていますので、アルキド樹脂との相溶性に優れているために、大豆油変性アルキド樹脂でも変性することが可能です。速乾性、硬度、耐水性に優れているため自動車用補修用塗料、ハンマートン塗料などに使用されています。
(3)メタクリル酸メチル変性アルキド樹脂
メタクリル酸メチルもアルキド樹脂の変性に利用されます。メタクリル酸メチルと共重合させるアルキド樹脂もスチレン化アルキド樹脂の場合と同様に共役不飽和結合のの脂肪酸基を持ったものでなければ、不均一な、溶剤に溶けない樹脂となってしまいます。共役不飽和油としては、脱水ひまし油が有効です。