一般にケイ素樹脂といわれているものには、液状のものからゴム状、樹脂状のものまで、形態はさまざまで、その性質、性能もおのずと異なっています。塗料用に使用されているものは、シロキサン結合を有するオルガノポリシロキサンで、官能基としては、水酸基(-OH)あるいはメトキシ基(-OCH3)になります。
置換基としては、メチル基、エチル基、フェニル基などがあり、CH3基が多くなるにしたがい、その塗膜の性質は、撥水性になり、すべりやすく、ゴム弾性をおびるようになります。反対にC6H5基の割合が多くなると、撥水性が減少し、硬度が増し、機械的強度が大きくなり、耐熱性も向上します。また、シロキサン結合用の架橋度によっても塗膜性能が左右されます。架橋度が小さいと固くてもろく、架橋度が大きくなると樹脂状というより油状に近くなります。油状のものは界面特性を利用して、塗料用添加剤として利用され、樹脂状のものは、熱硬化樹脂として耐熱塗料用として使用されます。ケイ素樹脂は、長所がある反面、耐溶剤性、付着性、強じん性に劣るという欠点があり、したがって、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などで変性し、ケイ素樹脂の欠点を改良して、特徴をいかす方策がとられています。