▽塩化ゴム
塩化ゴムは塗料用としてゴム誘導体中最も重要な位置を占めています。塩化ゴムは天然ゴム溶液に塩素を通じて作られます。
塩化ゴム中の塩素含有量は約67%で、生成物は三塩化物と四塩化物との混合重合体と考えられています。塩化ゴムは無臭の白色粉末で、その塗膜は無色透明で、芳香族炭化水素、エステル、ケトン、塩素系炭化水素などに溶解しますが、脂肪族単価水を、アルコールには不溶です。分子中に多量の塩素を含むことにより、耐水、耐薬品性、腐蝕性ガス、海水などにおかされないため耐薬品塗料、耐海水塗料として優れた材料であり、また防火塗料、電気絶縁塗料にも使用されています。
塩素化高分子物質は、紫外線の作用により脱塩酸して塗膜が着色し老化する傾向があるため、塩化ゴムは屋外用クリヤーとして使用することはありません。
塩化ゴムは繊維に近い性質のため、かなり多量の塩化パラフィンまたは塩化ジフェニルを可塑剤として加える必要があります。また、アルキル樹脂ともよく混和するのでアルキド樹脂を可塑剤とし、付着性を向上させるため使用することがあります。反対にアルキド樹脂に塩化ゴムを加えてアルキド樹脂塗料の乾燥性を早め、同時に耐水性、耐油性などを向上させることができます。
塩化ゴム系塗料の特徴は、耐水、耐薬品性に加えて速乾性であり、長期曝露の塗り重ねでも付着性がよく、メンテナンスフリーの塗装ができます。そのため重防食塗装用塗料として、化学工場、タンク塗装、海岸地区の橋梁塗装に用いられるようになりました。米国では耐火塗料として規格化されています。
▽環化ゴム
環化ゴムは、天然ゴムのベンゼンやクロロホルム溶液を触媒の存在下加熱して得られる天然ゴムの異性体で、分子内に環状構造を持ち、不飽和度は天然ゴムよりも減少しています。この環化ゴムは付着性、耐アルカリ性が特に強大であるため、耐アルカリ塗料に使用されています。また、特殊溶剤には極めて強いので、耐溶剤塗料などにも用いられます。屋外用にはあまり適しません。