合成ゴムN(ネオプレン)及び合成ゴムH(ハイパロン)はいずれも塩素を含んだ高分子炭化水素で、合成ゴムNもHも反応機構は異なりますが、金属酸化物により架橋して三次元的構造をとり、より強固な膜となります。
(1)合成ゴムN(ネオプレン)塗料
合成ゴムNを基材とした塗料は加硫型塗料(2液性)、非加硫型塗料(1液性)、ラテックス系塗料(エマルションで1液性)の3種類に分けられます。
加硫型は普通0.25~1.0㎜に厚く塗り、直接薬品と接触したり、機械的条件の難しいところに使用されます。非加硫型は普通0.13㎜程度に薄く塗り、一般保護塗装に使用します。耐水性はよいですが、耐薬品性は加硫型よりも弱くなります。
(2)合成ゴムH(ハイパロン)塗料
合成ゴムHは目的に応じて、1液性、2液性でも、促進剤を変えることにより自由に作ることができます。この塗料の場合には素材が固いものか、軟らかいものかによって分ける場合が多いです。
固いものの場合、(例えば、木材、金属、コンクリート、レンガなど)は、ハイパロン30を基材としたものを使い、塗膜は乾燥が早く、光沢がよく、汚れが付きにくいです。
軟らかいものの場合、(例えば、ゴム、繊維、ウレタンフォームその他屈曲性を要求されるもの)にはハイパロン20を基材としたものを塗装します。ポリマー自体20の方が耐候性がよいです。
一般の塗料として使うもの(例えば、鉄鋼構造物、貯蔵タンクの外部、屋根などのように耐候性を必要とするもの)には、一液性塗料で十分です。しかし、塗装後に激しい摩耗や強い薬品と接触するところでは、これを120~150℃で10~20分加熱するか、2液性で架橋反応の早いものを使う必要があります。
合成ゴムH塗料の特長は、耐候性、耐薬品性、耐摩耗性に優れ、難燃性で、熱安定性がよいことからコンデンサーの保護塗装、ルーフ塗装、ダム塗装などに用いられています。その他防潮堤、水門などにも用いられ、大幅に耐用年数を伸ばす可能性があるといわれています。