ラッカーシンナーは、ニトロセルロース塗料を塗装するときに適する粘度に調整するために用いられるもので、真溶剤、助溶剤、希釈剤からなり、気温、湿度や塗装法によって、高沸点、中沸点、低沸点の溶剤を適正配合します。気温の高い夏期の場合は、ラッカーシンナーの蒸発速度が速いと、塗膜は早期に流展性を失って、ガン肌となり平滑性を欠くため、中沸点、高沸点溶剤を主体とします。冬期のように気温が低い場合には、蒸発速度が遅く、乾燥が遅れ、流れ、タレを生ずるため、低沸点、中沸点溶剤を主体とした配合とします。また、湿度の高い場合には、ラッカーシンナーの蒸発速度が速いと、その蒸発潜熱によって、塗膜周辺の大気の温度が急激に冷やされて露点に達し、白化(ブラッシング)現象を生ずるため、蒸発速度を遅くする措置がとられます。このような塗装環境に応じて、シンナーの蒸発速度を加減して、白化を防止するために添加する特殊シンナーのことを、リターダーといいます。