ニトロセルロース塗料は、
ニトロセルロース(硝化綿)を主成分とする塗料で、硝化綿塗料、またはニトロセルロースラッカー、あるいは単にラッカーと称されることもあります。
一般にラッカーとは、
溶剤の蒸発によって塗膜が出来る塗料(蒸発乾燥型塗料)で、普通はセルロース誘導体を用いたものの塗料の総称ではありますが、最近はニトロセルロースを用いた塗料のことを指し、ニトロセルロース以外の場合には単にラッカーとは呼ばず、塗料構成要素の名称をラッカーの前につけて呼ぶことが多くなりました。
ニトロセルロース塗料は、ニトロセルロースに
可塑剤、
樹脂などを配合して溶剤に溶かしたものであり、エナメルはさらにこれに顔料を加えたものになります。すなわちラッカーの特性は主に硝化綿にありますが、硝化綿だけでは十分ではありませんので、塗膜に可とう性と弾性を与えるために可塑剤を、また塗膜の付着性、光沢、肉持ちを良くするために各種樹脂等が添加されます。これらのものを溶剤に溶かして出来ているため、乾燥は常温で1時間以内に乾燥し、その塗膜は不粘着、硬度があり、耐水、耐油、耐久性および美観などに優れています。そのため、金属以外の木材加工品、皮革製品などに用いられています。また、自動車補修用としては、特に広く使用されています。しかし、揮発成分が多いので塗膜は薄く、何回も塗り重ねなければ必要な塗膜厚が得られない欠点があります。