本来、熱媒体は使用条件による寿命の長短はありますが、劣化を伴うものです。熱劣化、酸化劣化等により、長期の使用により分解や重合を起こします。
劣化度合によっては系内でスラッジ化し、配管内面をコーキング化する場合があり、これらの劣化状況を把握することが重要になります。
熱媒体メーカーによっては有償あるいは無償で劣化分析を行い、アドバイスするところもありますので、1年に1~2回劣化試験を行い、劣化の傾向を把握します。サンプルは1000mL程度を要しますが、サンプリング時に注意したいことは、十分に鼻切りを行った後のものをサンプルとすることです。抜き出しノズルやバルブに滞留しているものを評価しても系内の熱媒体を反映しないためです。
一般的に、熱媒体の更新は定修期間を利用して行うこととなりますが、定修時期の半年くらい前には劣化試験を行い、更新の必要性の有無を確認したいところです。
熱媒体は、プラントの建設等では比較的軽視されがちではありますが、設備の動脈であり、選定および日常の管理は、安定操業の重要な一因となりますので、注目していただきたいところです。