塩化ビニルゾル塗料は、塩化ビニルプラスチゾルと塩化ビニルオルガノゾルとがあり、前者は塩化ビニル樹脂粉末を可塑剤中に分散したものをいい、後者は可塑剤または可塑性樹脂と溶剤中に分散したものになります。いずれも加熱により、不可逆性ゾル→ゲル変化を利用し、塗膜を形成するものになります。有機溶剤型塩化ビニル樹脂塗料は、通常20~30%の不揮発しかなく、1回塗りの膜厚が極めて薄く、その上エステル、ケトンなどの溶解力の強い溶剤を多量に使用します。そのため、塗装時には臭気、大気汚染、火災の危険などの問題が内在していますが、塩化ビニルゾル塗料は、溶剤を使用しないか、使用しても極めて少ないため、1回塗りで厚膜が得られ、液体成分としての可塑剤も塗膜成分として、塗膜中に残存します。
使用される塩化ビニル樹脂も通常のものと違い高分子のものが用いられるため、機械的強度、化学的抵抗性の大きな塗膜が得られます。