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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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塗装の環境に起因する欠陥




 塗装環境によるものとしては、高温、低温、高湿度などに注意を要します。通常、塗料が自然に乾燥してよい塗膜を得るには、温度は20℃、湿度は75%をもっとも適当な温湿度としています。高湿度の場合、クリヤラッカー。セラックニスなども塗装すると塗膜に白化現象を起こしてしまいます。また、溶剤型合成樹脂塗料における塗装作業中は換気に十分注意する必要があります。
 このように作業の前には環境整備として、清掃、照明、気温、湿度、換気と屋外においては、強風、降雨雪、太陽光線、亜硫酸ガスなどの店に十分留意するべきです。また、建築現場では周囲の他の作業によって、塗装中、または塗膜の乾燥中にちりやほこりで汚されないように十分注意し、塗装箇所の周辺、床などには必要に応じてあらかじめ適当な養生を必要とします。
 塗装を行うに当たって、その作業環境が悪ければ欠陥は生じやすくなります。そのために環境整備の要点として清掃、照明、温度、湿度、換気と屋外においては、強風、降雨雪などが欠陥の原因となるので十分注意をして作業を進める工夫が必要です。特に塗料の調合場、及び作業場はよく整理し、紙くず、マスキングテープのくずなどつねに清掃に留意し、必要な換気を行い、可燃性塗料を扱う場合は火気を厳禁にします。
 特に油類の付着した布片などは自然発火しやすいのですみやかに安全な方法で処分をするなど環境整備には十分注意して欠陥を生じないよう留意すべきです。

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乾燥の方法に起因する欠陥:やせ、しわ、ひび割れ



《やせ》

 塗装直後、塗膜が乾燥・硬化していくにしたがって平坦性が失われ、正常な塗膜を形成しないことをやせといいます。
 発生する塗料はソリッド分の少ない塗料、特にラッカーなどはこの傾向にあり、乾燥によって、塗料中の溶剤が蒸発しやせを生じていきます。
 この場合揮発成分の多い塗料は一度の厚づけすると、特にやせの発生が大きいため、塗り回数を多くし、たんねんに塗装する必要があります。

《しわ》

 しわは乾燥が進むにつれ、塗膜表面にひだ状、ちりめんじょうのしわを生じるものであり、発生する塗料は酸化重合塗料に生じやすいです。その原因として、表面乾燥しやすい塗料を一度の厚塗りした場合、上乾きを生じ、しわへと進行します。
 また下塗りが十分に乾燥していない上に塗り重ねたときなどに発生しやすいです。これらの現象は、ドライヤの調整により上乾き性を調整したり、厚塗りをしないなどが防止する方法になります。

《ひび割れ》

 乾燥段階で塗膜に生じるひび割れをいいます。
 この現象が生じる塗料は、厚膜に仕上げる複層模様吹き付け材などに生じやすいです。これらはいずれ乾燥段階で塗装環境の異常によるもの、基剤と硬化剤の混合間違いなどによって生じるもので、乾燥・硬化の仕方によってその原因も異なります。
 合成樹脂エマルション系の仕上げの場合、直射日光が塗膜面に当たったり、強風が吹く場合などにおいて、上乾きを生じやすく、厚塗りをする場合上乾きによって塗膜内部の水分が上乾き表面へ移行する段階でひび割れを生じます。
 一方、2液反応硬化形の仕上げ材の場合、基剤と硬化剤の割合を間違い、硬化剤の添加量を少なくした場合に生じやすいのがひび割れです。
 これらを未然に防止するには、乾燥不良の場合と同様、塗装の基本事項にのっとった施工をすることになります。

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乾燥の方法に起因する欠陥:ピンホール、わき、あわ、乾燥不良



《ピンホール、わき、あわ》

 塗膜に小穴が生じるものをピンホールといい、小突起状にふくれたり、あわ状またはまたはぶつ状に小ふくれを生じる現象やわきやあわと呼んでいます。
 この現象が生じる原因は揮発乾燥形塗料に多くみられ、乾燥時の原因によって生じる場合は
 ①素地の気泡、スプレー時のエアのまきこみが気温が高いときに塗膜の中に溶剤が十分に出ないうちに表面だけ乾燥した場合に生じる。
 ②シンナーの蒸発が早すぎる場合。
 ③下塗りの乾燥が不良の場合。
 ④木部塗装の場合、導管などの中にある空気が塗料を塗ることによって塗料が半乾燥塗膜になったときその空気が表面に押し出されピンホールとなる。
 これらの原因に対する対策としては一度に厚塗りをしない、シーラーなどを塗装し素地の吸収性を押さえる、適正なシンナーを使用するなどの方法によって防止することが出来ます。

《乾燥不良》

 塗装した塗料が、一定時間経っても塗面が固化せず、いつまでも弱い状態にあるものをいいます。
 これらの現象を生じる原因としては、塗料の乾燥・硬化機構によって種々ありますが、その2,3の例を次に示します。

(a)酸化重合型塗料の場合

 温度が低い場合にシンナーの蒸発が遅れ、酸化、重合が阻害される場合や室内塗装の場合通風が不足するとやはり溶剤の蒸気が充満し、シンナーの蒸発が遅くなり酸化重合が阻害されます。

(b)2液反応硬化型塗料の場合

 基剤と硬化剤の調合割合を間違え、いずれかを多くしたり、少なくしたりすると未反応のいずれかが塗膜内に残り、硬化不良を生じます。また、下塗りに使用した塗料が不適性の場合、2液形塗料の硬化反応を阻害するものがあります。

 その他乾燥不良を生じる原因として、素地の表面の水、油の付着やシンナーの選定が不適当な場合などは塗料全般に共通している原因です。
 これらの原因に対して欠陥を未然に防止するには、塗装における基準事項を忠実に守ることが第一になります。

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