皮膜化成処理とは、金属が加工液と接触した際に起こる化学反応を利用して、金属表面に皮膜を形成させる処理方法です。この場合の反応は、処理液による金属のエッチング(表面のわずかな溶解)によって始まり、
①エッチングによって溶出した金属成分が、加工液中の成分と化合物を形成し析出する
②金属の酸化に伴って処理液中の成分が還元され析出する
③金属の酸化に伴って処理液中の水素イオン、あるいは酸化剤が還元され、金属表面のpHが上昇することによって加工液中の有効成分が沈殿析出する
などの二次反応、あるいはこれらの複合反応によって皮膜の形成が行われます。また、皮膜化成処理は電解や塗布を利用する成膜法とは異なり、被処理金属の形状に影響されにくい特徴があり、被処理金属が形状物の場合に、特に有用な処理方法といえるでしょう。
現在工業的に用いられている皮膜化成処理方法としては、リン酸塩処理、シュウ酸塩処理、反応型クロメート処理などが知られており、各種金属材料の耐食性、塗装性能(塗膜密着性および塗装後耐食性)、あるいはトライボロジー特性を向上させる目的で適用されています。