樹脂に導入されたイオン性基や、非イオン性基だけでは安定な状態で水に分散することは出来ません。これはイオン性基の解離度が小さいため、その基の界面活性剤的作用を阻害することによります。したがって、中和剤で樹脂を中和してイオン性基の極性を強め、樹脂が安定な状態で水に分散するようにします。アニオン電着塗料ではアミン、カチオン電着塗料では有機カルボン酸が中和剤として用いられます。
中和された樹脂を水中に分散した場合、中和度に応じてエマルション状態の分散体を形成します。この分散体の粒径は10~300nmで、中和度が低いと粒径が大きくなり、逆に高くなれば小さくなります。特に粒径が大きすぎると、粒子同士が融合して分散安定性が低下し、塗料の貯蔵安定性や顔料分散安定性に影響してしまいます。