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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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電子けがき塗料



一次プライマーを塗装された鋼板は切断加工されますが、船舶塗装では鋼板上に設計図を投影マーキングして溶断加工を容易にする方法がとられています。マーキングの方法は、一次プライマーの上にフォトナーと呼ばれる導電性の粉末を静電塗装し、その上に設計図面を投影し、光により電荷を失った粉末をエアブローで除去したのち残ったフォトナーを溶剤で定着することにより得られます。電子けがきに使用される一次プライマーはフォトナーが静電気でよく付着するように適度の導電性を持たせるように設計されています。塗膜性能は長ばく型エッチングプライマーと同様で、約3ヶ月の曝露に耐え、さび止めペイントやタールエポキシ樹脂塗料など各種の塗料を塗り重ねることができます。

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帯電防止塗料



静電気は表面の摩擦やイオンの付着などによって発生し、電気抵抗の大きな絶縁物ではその表面に蓄積します。冬季衣服を脱ぐときパチパチ音を立てたり、身体にまとわりつくのは、静電気が衣服に帯電しているせいであることはよく知られています。このほか、空気中のほこりを吸着して外観を損ねたり、触れたときに電撃ショックを受けたり、火災になることすらあります。
 帯電防止塗料は静電気を帯びやすいプラスチックなどに塗装することによって表面に静電気が帯電するのを防いだり、すみやかにかつ穏やか放電させて静電気を除去する機能を持つ塗料のことをいい、その基本特性は導電性になります。このため、カーボンやグラファイトなどの導電性顔料を配合して塗膜自体に導電性を持たせたものが多いです。このほか界面活性剤を調合して塗膜表面に湿気を帯びさせることによって静電気の漏洩を早めるものや、イオン電導性や電子電導性の大きい化合物、いわゆる帯電防止剤、を配合したものなどがあります。
 体積固有抵抗が10^13Ω-cm以下になると静電気が帯びにくくなるといわれていますが、帯電防止塗料のそれは10^-2~10^10Ω-cmと幅広く市販されていて、用途に応じて使い分けられています。
 塗料による帯電防止方法は物体の大きさや形状に関係なく容易に塗装できるほかに、光沢や色彩などを美観機能や、耐水性などの保護機能を同時に付与できるので、病院や食品工場の床や壁、電子機器のプラスチック部分などに多く使用されています。
 高温多湿の日本でも、空調設備や電子機器類が普及し、プラスチックの仕様が増加してきているので、静電気対策の必要性がますます増えるものと考えられています。

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電波吸収塗料



レーダ、通信、電子機器などの電波の利用が多用化するにつれて、電波障害が問題になっています。テレビの映りが悪いとか、電子機器が誤動作するなどがその例になります。
 レーダの偽像現象について説明すると、海峡部をわたる橋梁がある場合、船舶から出されたレーダが橋梁に照射し、直接反射してくる電波はレーダ映像上に実像として現れます。ところが橋梁から二次反射体に当たって反射してくる電波はあたかも別箇所からの反射波としてレーダ映像に現れることがあります。これらの偽像は受信レベルの調整で消えたり、明らかに偽造と判断される場合もありますが、他船と見誤る恐れがあります。
 このような電波障害を解決するものとして電波吸収塗料があります。
 電波吸収塗料は吸収型と整合型に分類できます。吸収型は電波のエネルギーを熱エネルギーに変換させるタイプであり、実用的な効果を得るためには電波の波長の数倍の厚膜が必要になります。整合型は照射された電波の一部は塗膜の表面で反射されますが、残りの電波は塗膜内に入り減衰しながら塗膜と部材の境界面で反射します。この表面反射波と内部反射波が逆位相で等振幅になるようにすると、互いに打ち消し合い、見かけ上電波を吸収した状態になります。したがって、整合型は吸収型に比べて塗膜の厚さを薄くすることができる特長があります。
 電波を吸収する特性を出すためには、塗膜に導電率、誘電損失、磁性損失の大きい性質を与えてやることが必要です。導電率を高める物質としては、カーボンブラックやグラファイト、磁性損失を大きくする物質としては、フェライトなどがあります。電波吸収塗料はこれらの物質をエポキシ等のマトリックス樹脂と混合して製造されています。塗料で数ミリ以上の厚膜に塗装することは難しいので、吸収型よりも整合型の研究が多く行われています。整合型の欠点は電波吸収性能が膜厚に依存することです。このため膜厚許容幅を大きくする組成面からの研究と塗装管理技術」の向上が今後の課題です。

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