塗装技術の門

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)

プラスチックス材料は性能の改善によって、エンジニアリングプラスチックスと呼ばれる、金属にかわる構造材料としての用途が多くなってきました。プラスチックスは成型時に顔料を練り込むことにより着色することも可能ですが、後で塗装した方が外観がよく経済的でもあります。このため、各種のプラスチックス用塗料が開発され大きなマーケットを形成しつつあります。自動車部品を例に取ると、ダッシュボードやバンパーなどにポリプロピレンをはじめとする材料が使用され、内外装の色に合わせた塗装が行われています。プラスチックス塗装の課題は付着性で、素材に合わせてオーダーメイドの塗料を使用したり、プラズマ処理などの表面処理が必要になることも多いです。

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流れさび消去塗料

鉄部から発生したさびは塗膜を破って表面に流れ出て、あたかも広い面積にさびが生じたように見えることがあります。このような流れさびによる構造物の汚れは、船舶外板、鉄性手すりの付いたコンクリート面、タンク外面などに見られます。このような面に塗装して流れさびの色を消去する塗料が開発され発売されています。
　流れさびの消去は次のようなメカニズムによって得られます。
　1）塗膜中の特殊な活性顔料が表面に移行する。
　2）表面に流れたさび（褐色の水酸化鉄）が活性顔料と反応し白色の水溶性物質になる。
　3）水溶性物質が雨や海水で洗い流される。

　流れさび消去塗料は、鉄面、コンクリート面、旧塗膜面のいずれにも塗装可能であって、この塗料の標準仕様は下表の通りになります。

表．補修船舶塗装仕様の例

工程	塗料	膜厚✕塗回数
タッチアップ塗装下塗り塗装上塗り塗装	専用下塗り塗料専用下塗り塗料流れさび消去塗料	75μm 75μm 40μm✕2

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)

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張紙防止塗料

電柱、街灯柱、歩道橋、壁、塀などにみさかいなく貼り付けられた宣伝ビラは市街地の警官を著しく損ねています。さらに、風雨にさらされて変色したり、部分的に剥がれたまま放置されているのは見るにたえません。このような張紙を除去するには人力で削り取るしか方法はありませんが、この方法では素材まで傷つけてしまいます。
　張紙防止塗料は、ポリウレタン樹脂のように耐候性のよいビヒクルに、張紙が付着しないか、自然に剥離するか、小さい力で容易に除去できるようにするために、スリック剤（ワックス類）を配合したり、張紙との接着面積を小さくするためガラスビーズを配合したりしたものになります。
　張紙防止には、金網を貼り付けたり、塩ビやポリエチレンシートを巻き付ける方法もありますが、施行作業性や耐久性に問題があります。これに対して、張紙防止塗料は塗装という簡便な方法で施行できることのほかに、性能面では張紙防止機能のほかに、素材の保護や素材に意匠性を持たせることができる特徴があります。景観を美しく保つ社会的な要請にこたえるものとして、ますます多く使用されていくものと考えられます。

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