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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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電磁波シールド塗料




 電磁波シールドとは、金属のような高い導電性や透磁性を持つ面によって、その両側の空間やものを電磁気的に絶縁することです。
 電子機器類は産業分野では不可欠なものであり、最近は家庭にも普及してきていますが、電子機器から外部に漏れるごくわずかの電流や電磁波が、他の電子機器の制御機構に対してノイズとして働いて誤動作を起こすことが問題となっています。この問題は、電子機器の高性能化と小型化が進むにつれてますます深刻化してゆくものであるだけに、効率や快適面だけでなく安全の面からも見過ごすことのできない課題です。
 電磁波障害対策の基本はノイズを発生しない電子機器を設計することであります。このためノイズ源となりやすいプリント基板やスイッチを板金でカバーするなどの方法がとられていますが、微少の電流や電磁波が外部に漏れるのを完全に防ぐことはできません。
 電子機器全体を金属でカバーする方法は有効です。しかし現在ではむしろ、軽量化、低コスト化、デザイン性の向上などが優先されて、電磁波に対して全く無防備であるプラスチック化が進められています。このため、プラスチックを導電化して電磁波障害対策を立てることが必要になってきました。
 プラスチックを導電化する各種工法はそれぞれに一長一短はありますが、この中で使用されているものはコーティング法が多いです。
 電磁波シールド塗料は、多量のニッケル、銀、銅などの金属や合金粉末からなる導電性フィラーを、少量のアクリル樹脂やポリウレタン樹脂などのビヒクルに分散したもので、10^-5~10^0Ω-cm程度の高導電性塗膜を形成するものであります。銀系が最もシールド効果が大きいのですが、高価になります。ニッケル系が価格と性能がのバランスが良いので多く使用されています。
 この塗料は複雑な形状のものでも、はけやスプレーで簡単に塗装できる特長を持つ反面、高比重の導電性フィラーを多く配合しているため、沈降しやすく、塗装ムラが生じやすいです。この点の改良が望まれます。
 鉛や亜鉛の溶射膜も効果があります。前者はシールド効果が極めて良いのですが製品の重量がかなり増加してしまいます。また両者とも、プラスチックとの付着性が劣る致命的な欠点があるため、塗料にかわられつつあります。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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耐熱塗料



一般に熱に対して劣化などによる異状がなく、塗膜としての機能を保持し続けるものを耐熱塗料といいます。
 ところで耐熱性といっても使用される環境により対象の温度も異なることから、耐熱塗料も使用温度に応じた分類ができます。
 耐熱塗料の耐熱性は展色剤である樹脂と顔料との働きによりその機能を発揮します。顔料として酸化チタン、酸化鉄、などの酸化物顔料、アルミニウム粉、亜鉛粉末、ステンレス粉末などの金属粉が耐熱性に優れたものとして使われます。
 展色剤である樹脂については耐熱塗料では特に重要で、塗装時の焼き付け工程および使用時の高温環境において変色や塗膜の熱による劣化、崩壊がないようにしなければいけません。このようなことを考慮すると無機系顔料は有機系顔料よりも耐熱性に優れていることが推定されるところです。
 使用される環境の一例を温度で分類すると次のようになります。

 ・比較的低温 65~120℃ 照明器具、ストーブなど
 ・比較的高温 260~540℃ 排気管、ボイラー、煙突など
 ・高温    540℃以上 特殊な用途

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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赤外線制御塗料



赤外線は太陽光線中の長波長部分で物質の分子活動を活発にして、物体の温度を上昇させます。塗料のうちには赤外線を制御する働きを持つものがあります。
 構造物は太陽光線に当たるとその中に含まれる赤外線により温度が上昇します。この際、白色の塗装をすると光全体を反射し温度上昇は少ないのですが、濃色の塗装をすると赤外線を吸収して温度が上昇します。構造物は美観や眩映性の点から濃色の塗装が施されることが多いのですが、屋根塗装では室内の温度を上昇させ夏に暑くなり、タンクやタンカーの塗装では内部の温度が上がって内容物の蒸発による損失や危険性を招くことになります。塗料中に赤外線反射物質を配合すると、濃色塗装にしても日照による内部の温度上昇を少なくすることができます。
 特注なセラミックス系顔料を配合した塗料は光が当たる2次的に遠赤外線を放射するので、赤外線こたつの放熱板の塗装に使用されています。

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