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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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塗装工程にかかわる環境対策




 塗装工程ではオーバースプレーなどにより出る廃塗料からの溶剤回収は古くから行われており、欧米の雑誌には経済性の試算などの報告があります。樹脂及び顔料の再利用は、技術的な困難さから研究は遅れていますが、チタン白を2ホウ化チタンに変えて取り出す基礎研究の報告があります。
 廃塗料が出ないことが理想的であり、塗着効率の高い粉体塗料・電着塗料の需要が増加していることは周知のとおりです。スプレー塗装においても塗装効率の高い近距離塗装・低圧スプレー塗装、水性塗料用ベル型塗装などが研究されています。また、色換えにともなう無駄の少ない塗装機も開発されています。さらに、水性スプレー塗装において、オーバースプレーした塗料を回収再使用する方法が各種開発されています。
 これら塗着効率の高い塗装設備は一般に高価であり、そのことがこれら技術の普及を遅らせている一因になっている場合が多く、その改善も必要な技術であります。電着塗装は多くの水洗工程を必要としています。その水洗部分の多くを省略して工程を大幅に簡素化する研究がなされています。水洗を省略することで予想される主な欠陥は溜まり部の仕上がり不良です。現行の塗料では塗材に傾きを与え、落ちやすくする必要がありますが、塗料の改善による解決の道も探索されています。

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塗料原料にかかわる環境対策(ペットボトルの再利用)




 塗料の原料にどういった樹脂を用いるかということは、塗料をライフサイクルアセスメントの立場から論じるときには非常に大きな問題となります。特にリサイクル原料の有効利用は循環型社会の構築に寄与するところが非常に大きいです。廃ペットボトルの再利用は、容器包装リサイクル法の施行に伴って重要かつ喫緊の課題であります。現在エコマーク商品類型には多くの繊維類型が登録されていますが、わずかに含まれている不純物のために経済性が悪くなってしまっています。現在エコマークに登録された塗料類型はありませんが、様々な試みが行われているところです。

《PET樹脂の再利用》

 廃ペットボトルを粉体塗料として利用するために、ペットボトルを細かく粉砕するプラントが稼働しています。微粉砕することが困難で、粒子径が大きいために焼付温度が通常の粉体塗料と比較して高い傾向にあります。粉砕方法がいろいろと検討されており、この技術が今後の発展の鍵となると考えられます。
 一般にPET樹脂は金属との付着性がよいです。コンクリート内の鉄芯を腐食から守るためのプラスチック保護樹脂としての適性を調査する目的で、リサイクルPET樹脂の小粒子またはフレークを、8分間275℃に熱し金属板上で溶融して皮膜をつくり、その付着性をPVCおよびバージンPETと比較しました。その結果、リサイクルPET樹脂は鉄芯保護プラスチックとして使用可能と結論付けられました。

《PET樹脂成分の再利用》

 PET樹脂を各成分にまで分解し、各原料単体で回収し再使用するのが理想ではありますが、その完全な分解には超臨界メタノールを使用する必要があるなど経済的な負担が大きいです。
 塗料業界で主として行われているのは、塗料用ポリエステル樹脂原料の一つとして利用する方法になります。すなわち、廃ペットボトルをほかのポリエステル原料とともに加熱溶融して、エステル交換反応によりPET樹脂成分を塗料用樹脂に組み込んでいく方法です。どの程度まで分解するのか、どの程度の量まで置換するのかは製品の性能により決められます。
 PET樹脂の多塩基酸構成成分であるテレフタル酸は、一般には塗料用原料としては使用されません。その理由は、テレフタル酸を原料として合成した樹脂は結晶性に優れるために、融点が高く、溶剤に難溶性で塗料用樹脂としての適性に欠けるためであります。PET樹脂再使用の対象となるのは、汎用塗料に使用される酸化重合で硬化する長油アルキド樹脂、工業塗料に使用される中油から短油のアルキド樹脂およびポリエステル樹脂でありますが、いずれの場合にもイソフタル酸あるいは無水フタル酸などの通常の塗料に使用する多塩基酸が混合されます。

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被塗物のリサイクルを妨げない塗料




 塗膜は被塗物を保護しその使用年限を伸ばすことによって社会に貢献してきました。しかし、一方で塗膜の付着が被塗物のリサイクルの障害にもなっています。現在使用している脱塗膜方法は、酸またはアルカリや有機溶剤を使っての剥離、サンドブラストなど強い物理的な衝撃による粉砕、火による焼却などになります。これらの方法は、多大のエネルギーを消費すると同時に被塗物を破壊する場合も多いです。これからの社会ではリサイクルを前提とした商品が増えるものと考えられ、塗料もそれに適合したものが開発されないといけません。
 この種のコンセンサスは次のように考えられます。
 (1)リサイクルする被塗物にはプラスチックが多いので、常温から100℃で乾燥できる
   塗料にする。
 (2)人手をかけずに多量に処理するために、塗膜は剥がすのではなく、溶解して流し去れる
   塗料である。
 (3)ストリップペイントのような使用前の一時的保護ではなく、通常の使用を目的とする
   ためには、塗膜の分解・溶解は自然界にない条件でのみ起こる塗料である。
 カルボニル基を持った樹脂をヒドラジド基を持った架橋剤で硬化する塗料系がこれら条件を満たします。この硬化反応は常温で速やかに起こり(1)の条件を満足します。この逆反応は、逆反応の生成物である水、反応触媒である酸、分解で再生したカルボニル基とヒドラジド基の再結合を希釈によって妨げる樹脂の良溶媒がそろったときに速やかに起こり(2)を満足します。また、この逆反応はこれら三要素が揃ったときのみ起こり、自然界ではこれら三要素全て揃うことはないので(3)も満足します。
 分解速度は、分解樹脂の組成、水の量、酸の強さ、溶剤の塗膜溶解性、処理温度によって決まります。塗膜の溶解は非常に速く、脱塗膜条件を適切に選択すれば、被塗物が熱可塑性プラスチックであっても、それが塗膜溶解液によって溶解・膨潤する前に塗膜のみを溶解除去することが可能になります。
 塗膜を溶解する溶液に含まれる水・酸・溶剤の三成分のうち、水の量を増やすと樹脂は溶解せず親水性の架橋剤のみが溶け出します。この塗板を引き上げ溶剤洗浄すると、架橋の切れた塗膜は簡単に溶解して洗い流されます。この方法は多少処理時間は長くなりますが、主要な塗料成分を分離回収できますので、溶解液の可使限界が大幅に伸びるとともに樹脂の再利用も可能になります。
 カルボニル基とヒドラジド基で架橋した塗膜はいろいろな方法で作ることができます。この架橋系を利用した水性2液型塗料は、スチレン・ABS・アクリル・ポリプロピレンなど代表的なプラスチック板に、洗浄または前処理を施すことにより、常温乾燥でもよく付着します。

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