塗装工程ではオーバースプレーなどにより出る廃塗料からの溶剤回収は古くから行われており、欧米の雑誌には経済性の試算などの報告があります。樹脂及び顔料の再利用は、技術的な困難さから研究は遅れていますが、チタン白を2ホウ化チタンに変えて取り出す基礎研究の報告があります。
廃塗料が出ないことが理想的であり、塗着効率の高い粉体塗料・電着塗料の需要が増加していることは周知のとおりです。スプレー塗装においても塗装効率の高い近距離塗装・低圧スプレー塗装、水性塗料用ベル型塗装などが研究されています。また、色換えにともなう無駄の少ない塗装機も開発されています。さらに、水性スプレー塗装において、オーバースプレーした塗料を回収再使用する方法が各種開発されています。
これら塗着効率の高い塗装設備は一般に高価であり、そのことがこれら技術の普及を遅らせている一因になっている場合が多く、その改善も必要な技術であります。電着塗装は多くの水洗工程を必要としています。その水洗部分の多くを省略して工程を大幅に簡素化する研究がなされています。水洗を省略することで予想される主な欠陥は溜まり部の仕上がり不良です。現行の塗料では塗材に傾きを与え、落ちやすくする必要がありますが、塗料の改善による解決の道も探索されています。