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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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塗料原料にかかわる環境対策(ペットボトルの再利用)




 塗料の原料にどういった樹脂を用いるかということは、塗料をライフサイクルアセスメントの立場から論じるときには非常に大きな問題となります。特にリサイクル原料の有効利用は循環型社会の構築に寄与するところが非常に大きいです。廃ペットボトルの再利用は、容器包装リサイクル法の施行に伴って重要かつ喫緊の課題であります。現在エコマーク商品類型には多くの繊維類型が登録されていますが、わずかに含まれている不純物のために経済性が悪くなってしまっています。現在エコマークに登録された塗料類型はありませんが、様々な試みが行われているところです。

《PET樹脂の再利用》

 廃ペットボトルを粉体塗料として利用するために、ペットボトルを細かく粉砕するプラントが稼働しています。微粉砕することが困難で、粒子径が大きいために焼付温度が通常の粉体塗料と比較して高い傾向にあります。粉砕方法がいろいろと検討されており、この技術が今後の発展の鍵となると考えられます。
 一般にPET樹脂は金属との付着性がよいです。コンクリート内の鉄芯を腐食から守るためのプラスチック保護樹脂としての適性を調査する目的で、リサイクルPET樹脂の小粒子またはフレークを、8分間275℃に熱し金属板上で溶融して皮膜をつくり、その付着性をPVCおよびバージンPETと比較しました。その結果、リサイクルPET樹脂は鉄芯保護プラスチックとして使用可能と結論付けられました。

《PET樹脂成分の再利用》

 PET樹脂を各成分にまで分解し、各原料単体で回収し再使用するのが理想ではありますが、その完全な分解には超臨界メタノールを使用する必要があるなど経済的な負担が大きいです。
 塗料業界で主として行われているのは、塗料用ポリエステル樹脂原料の一つとして利用する方法になります。すなわち、廃ペットボトルをほかのポリエステル原料とともに加熱溶融して、エステル交換反応によりPET樹脂成分を塗料用樹脂に組み込んでいく方法です。どの程度まで分解するのか、どの程度の量まで置換するのかは製品の性能により決められます。
 PET樹脂の多塩基酸構成成分であるテレフタル酸は、一般には塗料用原料としては使用されません。その理由は、テレフタル酸を原料として合成した樹脂は結晶性に優れるために、融点が高く、溶剤に難溶性で塗料用樹脂としての適性に欠けるためであります。PET樹脂再使用の対象となるのは、汎用塗料に使用される酸化重合で硬化する長油アルキド樹脂、工業塗料に使用される中油から短油のアルキド樹脂およびポリエステル樹脂でありますが、いずれの場合にもイソフタル酸あるいは無水フタル酸などの通常の塗料に使用する多塩基酸が混合されます。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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