《塗装外観品質と中塗り》
上塗塗装外観品質で最高の平滑性、光沢を引き出すには、それに先立つ中塗塗膜の平滑性優れている必要があります。各工程の塗装を施した
ダル鋼板の3次元粗度プロファイルを測定すると、電着塗膜の粗度はまだ十分な平滑性がないことから、中塗りは高度の下地粗度隠ぺい性(Filling-power)をもつ必要があります。そのために、塗料のハイソリッド化が必要不可欠であります。下地隠ぺいには当然のことながら、厚膜化も大きく寄与します。高級車では中塗り2回(第1,第2中塗り)塗装のケースもあります。中塗りは140℃で約30分、加熱硬化されますが、ここで架橋反応が不十分だと、上塗塗装時の溶剤で中塗塗膜が膨潤し、上塗りの光沢、鮮映性が低下します。
《高度下地粗度隠ぺい中塗り(高仕上がり中塗り)》
この中塗りは、高揮発分領域でのレベリング性向上、体積収縮低下を主な手法として開発した高仕上がり中塗りであります。現在高級車に適用されている中塗り2回塗装方式を、中塗り1回で達成することが狙いでありますが、鋼板端面防錆力向上を目的としたエッジカバー電着塗料用の専用中塗りとして、大きな効果が認められています。エッジカバー電着塗膜は通常の電着塗膜と比べて、塗面の微小凹凸が大きく、高度な下地隠ぺい中塗りを使用しなければ乗用車の塗膜外観品質は得られません。エッジカバー電着~下地粗度隠ぺい中塗り工程と通常塗装工程を2次元表面粗度チャートで比較した結果、電着塗面粗度が大きいにもかかわらず、中塗り面では通常塗装工程と大差のない表面粗度になっていることが確認できています。