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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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粉体塗装法の種類



《流動浸漬塗装法》

 粉末樹脂の流動浸漬塗装法は50~100メッシュ(100~250μm)程度の粉体塗料を底面に多孔板をもった浸漬槽中に入れ下方から弱い圧力で空気を送入すると粉末の重力と空気圧とが釣り合う点で粉体塗料が流動化されます。通常粉体塗料の元の深さの150%くらいまで流動層が持ち上がるところが適当です。
 流動層の設計上で最も大切な部品は多孔板であって、気流が不均一であると膜厚も不均等となり被塗物の薄肉部が早く冷えて粉末がつきにくくなります。この流動層に予熱した被塗物を数秒浸漬して上下左右に揺動するとその表面に粉末が溶着します。これを槽から引上げ余分の粉末を圧搾空気で吹きとばして炉に入れ完全に焼付けます。

流動浸漬塗装法の特徴

【長所】
(1)複雑な形状の素材にも容易に塗装できる。
(2)膜厚200μm以上であれば膜厚のコントロールが容易であり自動化も可能。
(3)比較的設備費が安く材料ロスも少ない。
(4)少量多品種併行的バッチ塗装も可能であり色替も簡便。
【欠点】
(1)被塗物が大きいとタンク容量が大きくなる。
(2)熱容量の小さな被塗物、熱容量を異にする材料を組み合わせた被塗物では塗装が困難である。

《静電吹付塗装法》

 粉体塗装法の中心をなす方式で基本原理としては高電圧をかけたスプレーガンのノズルを通して帯電した粉体塗料を吹付けあらかじめアースした被塗物に静電気的に付着せしめることにより塗膜を形成する方法です。
・塗装装置は1962年にフランスのSAMES社により開発されています。その後国内、外とわず数多くの塗装機が開発されています。

静電吹付塗装法の特徴

【長所】
(1)比較的薄膜で均一な塗膜が得られる。
(2)予熱が不要である。
(3)被塗物の大きさにかかわらず塗装できる。
(4)少量の粉体で塗装が可能。
(5)粉体の回収設備を完全にすれば塗料の損失が非常に少なくなる。
(6)数台のガンを併用することができ自動化が容易。
【欠点】
(1)厚塗りする場合は予熱が必要である。
(2)深い凹みや、シャープな凹みをもつ被塗物は電界の影響により塗装が困難である。
(3)回収系に高い設備費がかかる。

《摩擦帯電塗装法》

 摩擦帯電塗装法は、ガンの内壁と粉体を積極的に接触させ摩擦を起こすことにより粉体を荷電させ、荷電した塗料はエアーにより被塗物に運ばれ付着される塗装法です。この方式は塗膜の均一性が良いなどの特長でここ数年で急成長しています。

摩擦帯電塗装法の特徴

【長所】
(1)塗膜の均一性がよい。
(2)凹部への入り込みがよい。
(3)塗膜肌がよい。
【欠点】
(1)ガン部品の消耗が早い。
(2)吐出量が少ないため、ガン台数が多くなる。
(3)コンベアスピードが遅くないと使用できない。
(4)湿度の影響を受けやすい。
(5)回収粉のつき廻りが徐々に悪くなる。

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粉体塗装の概要



粉末樹脂を被覆する粉体塗装法は1952年に発明された流動浸漬法と1962年に発明された静電吹付法に代表されますが、現在行われている粉体塗装の概要を下記に示しました。

《吹付法》

●スプレー法

概要:粉体塗料を予熱された被塗物に均一に吹付け、被塗物の熱で溶融させて連続皮膜を形成させる。

●溶射法

概要:スプレーガンの先端に炎をつけてこの中を粉体を通過させ溶融状態で被塗物に付着させる。

●プラズマ溶射法

概要:プラズマより液体を溶融し被塗物に付着させる。

《流動浸漬法》

概要:多孔板を底板とするタンクに粉体塗料を入れ、下部から多孔板を通して適量の気体を贈りタンク内に粉体の流動層を形成し、その中に予熱した被塗物を浸漬し被塗物に接触した粉体が溶融して被膜を形成する。

《静電塗装法》

●静電吹付法

概要:高電圧がかかったスプレーガンのノズルを通って負に帯電した塗料を吹き付け、接地した被塗物に電気的に付着させたのち加熱乾燥して被膜とする。

●静電浸漬法

概要:流動浸漬法と静電吹付法との特長を兼ね備えた方法で、流動槽内に被塗物も浸さずまた被塗物の予熱も不要である。

●煙霧法

概要:荷電してスプレーガンから吐出された粉体塗料が十分な量の空気流に乗って室内に安定した状態で流れ、被塗物がこの中を通過するとき均一に塗装される。

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粉体塗装法の特長




 粉体塗装法は樹脂粉末を被塗物に付着させ、これを熱処理することにより均一なフィルムを形成させる塗装法で従来の液状塗装法と比較して数多くの特長をもっています。

(1)固形分が100%で空気を媒体として用いるため有機溶剤による大気汚染、火災、中毒などの心配がない。
(2)1コートで厚膜塗装が可能で、ピンホール、ワキ、タレ等の欠陥が生じにくい。
(3)従来の液状塗料のように樹脂を有機溶剤に溶解する必要がないため比較的分子量の大きい樹脂の利用が可能で、樹脂の特性を生かした塗膜性能向上が可能である。
(4)溶剤を使用しないため焼付時のセッティングの必要もなく、工程の短縮、合理化、自動化が可能である。

 一方、粉体塗装を実施するに際しての問題点としては、薄膜塗装、ブースの色替、調色精度、粉じん回収などがありますが、数多くの工夫が加えられ解決されつつあります。

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