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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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防食塗料用ビヒクル:ポリウレタン樹脂、シリコンアルキド樹脂、ふっ素樹脂、アクリルシリコン樹脂



《ポリウレタン樹脂》

 -N=C=O基を有する化合物(イソシアネート)とポリオールの水酸基(-OH)とを反応させ、-NH-CO-O-(ウレタン結合)によって橋かけしたものがポリウレタン樹脂です。
 ポリウレタン樹脂は耐水性、耐薬品性、耐溶剤性に優れており、エポキシ樹脂には及ばないものの金属との付着性も良好です。日光で黄変しやすい欠点がありましたが、脂肪族系イソシアネートを硬化剤とした無黄変性はこの欠点が改良されており、特に耐候性は極めて優れています。
 防錆防食塗装系においては耐候性のよい長所を生かし、上塗りとして使用されています。エポキシ系下・中塗りと組み合わせて高性能の塗装系を構成し得ます。また下塗りからウレタン系の一貫塗装系としても用いられています。タール系原料を加えたタールウレタン樹脂塗料も使用されています。
 ポリウレタン樹脂塗料の長所の一つは低温硬化性が良好なことです。このために低温時にエポキシ樹脂塗料の代わりに使用されることも多いです。

《シリコンアルキド樹脂》

 シリコンアルキド樹脂は、一般的に油変性フタル酸樹脂にシリコン樹脂を化学的に結合させた樹脂です。
 このためシリコン樹脂の特性である耐候性の良さが付加されますが、主要樹脂の一部は油変性フタル酸樹脂ですので、シリコンアルキド樹脂塗料は、塗装作業性がフタル酸樹脂塗料と同程度であり、かつ油性さび止めペイントの上に直接塗装が可能です。

《ふっ素樹脂》

 ふっ素樹脂は、ポリエチレンやポリプロピレンなどに代表される脂肪族炭化水素系樹脂の水素原子の一部、または、全部がふっ素原子に置き換わった構造をもち、C-Fの結合が非常に安定であるため、耐候性が抜群によく非粘着性、耐薬品性等に優れています。塗り替え周期の延長、メンテナンスフリー化に対する市場の要望がより一層大きくなっている現在、長期防食塗装システムとの組み合わせによる超耐候性塗料として、橋梁、ブラント、海洋構造物において着実に実績を上げ拡大の方向にあります。

《アクリルシリコン樹脂》

 アクリルシリコン樹脂は、架橋成分としてアルコキシシリル基(-SiOR)を含むアクリル系共重合体であり、硬化剤の存在下で空気中の水分と反応し、アルコキシシリル基の加水分解、縮合反応により分子間に安定なシロキサン結合(-OSiOSi-)を作ります。ふっ素樹脂に次ぐ耐候性を有し、汚れもつきにくいといわれています。
 重防食用途としての実績はほとんどありませんが、徐々に用途が増えつつあります。

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防食塗料用ビヒクル:エポキシ樹脂



《エポキシ樹脂》

 一分子中にエポキシ基を2個以上持った樹脂状化合物をエポキシ化合物といいます。
 もっとも代表的なエポキシ樹脂はフェノール類のビスフェノールAとエピクロルヒドリンを反応させて製造されたものです。
 ビスフェノールAの代わりのビスフェノールFを用いたエポキシ樹脂のあります(AタイプをBPA、FタイプをBPFと呼びます)。
 BPFはBPAに比べて低粘度になるので無溶剤形塗料に適しています。
 エポキシ樹脂の分子中には、反応性に富んだ2個のエポキシ基と、水酸基が含まれていますので、官能基を持った硬化剤と縮合重合して、三次元構造を有する膜を形成します。硬化剤としては酸無水物、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、アミンアダクト、尿素樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート化合物などが使用されています。さび止め塗料用には、常温で硬化するポリアミド樹脂、アミンアダクトなどを硬化剤としたエポキシ樹脂が一般に使用されています。
 エポキシ樹脂塗料は、きわめて広範囲の特性を持つ特長あるさび止め塗料といえます。すなわち各種金属、ガラスなどへの密着性がきわめて良く、機械的強度も他の樹脂と比較して著しく優れています。また無溶剤の形、低溶剤形塗料とすることもでき、厚膜形塗料とすることができるので、重防食塗装の中心的役割を果たす樹脂です。しかし屋外に使用した場合、白亜化を起こしやすい欠点もあります。
 エポキシ樹脂は、他の樹脂と比較的相溶します。この特長を生かして、膨潤炭、コールタールピッチなどと相溶させ、ポリアミド樹脂、アミンアダクトなどで硬化させたコールタールエポキシ樹脂塗料は黒色系の色しかできない欠点はあるものの、安価でしかも耐水性、耐薬品性がきわめて優れているために、美観を必要とせず高度の防食性能が必要な用途に広く使用されています。コールタール系原料の代わりに石油樹脂など淡色の原料を使用して、着色あるいは着色塗料の塗り重ねを可能とした変性エポキシ樹脂塗料は近年目立って広く使われるようになった塗料です。
 常温硬化形エポキシ樹脂系塗料に共通の欠点は低温での塗膜の乾燥・硬化が著しく遅くなることです。
 この欠点を補うためにイソシアネートを用いる方法、その他種々の効果剤を利用した製品が開発されています。

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防食塗料用ビヒクル:ビニル樹脂



《ビニル樹脂》

 ビニル樹脂としては塩化ビニル樹脂をはじめとして、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂など種類が多く、塗料用展色剤としてはほとんどが共重合体のものが使用されます。その代表的樹脂が塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体であり、これは塩化ビニルの強じん性、耐化学薬品性と酢酸ビニルの易溶性、可塑性、付着性などを兼ね備えています。塩化ビニルが87%前後のものは溶解性があまりなく、溶液粘度はやや高いですが、塗膜は強靭で耐薬品性が特に優れています。塩化ビニルと酢酸ビニルのモル比が70:30くらいの共重合体あ溶解性が良く、溶液粘度も高くなりません。共重合体の性質は、重合度により異なり、塗料用としては大体平均重合度100~400程度です。ケトン類、酢酸エステル類、芳香族系溶剤に溶解します。またアクリルエステル樹脂、アルキルフェノール樹脂などと相溶します。塗膜は酸、アルカリをはじめ、耐海水性、耐水性、耐候性などに優れています。
 アクリル樹脂をさび止め塗料の展色剤として用いる場合には、アクリル酸エステルを重合させた、いわゆる熱可塑性のものが用いられます。塗料用としては、これで単独では硬化膜が硬すぎるので、塩化ビニルと同様、酢酸ビニルとの共重合体が用いられます。前述した塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体に比べて紫外線、熱などに対してより安定なので、特に外面塗装に用いられます。
 これらビニル樹脂を用いた塗料は、溶剤蒸発によって乾燥するので速乾性です。これは耐水性、耐薬品性に優れていますが、耐溶剤性、耐熱性はあまりよくありません。従来この塗料は塗装1回あたりの膜厚が小さく、多数回の塗装を必要とする欠点がありましたが、最近では1回に60μm程度の膜厚が得られる厚膜形の製品も開発されています。

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