フェノール樹脂は、水酸基、メチロール基を有しており、エポキシ樹脂はエポキシ基と水酸基を有しているため、両樹脂溶液を20~30:80~70の割合にコールドブレンドして、180~200℃で20~30分加熱すると、高硬度で付着性に優れた強じんな硬化塗膜となり、耐薬品性に富んだものとなりますが、欠点は焼付けによる変色並びに保色性が悪い点です。エポキシ樹脂は極性が大きく、表面張力が高いために、素地をぬらす能力が少ないので、ゆず肌、はじき、クレダリング(へこみ)などを起こしやすくなります。これらを防止するために、前処理の脱脂を完全に行うとともに、コンプレッサーの圧縮空気中の油分や水分を除くことが重要になります。また、エポキシ基の一部をあらかじめフェノール樹脂の縮合度の低いものと予備縮合させておくことにより、相溶性の幅を広げ、表面状態の安定化と、塗膜の改善を図ることが出来ます。この塗料の真溶剤として、セロソルブ系、ケトン系、エステル系溶剤があり、希釈溶剤として芳香族炭化水素およびアルコール系が用いられ、これらの溶剤を適正配合して専用シンナーとします。この系の高温焼き付け型塗料は、着色が著しく、美装には適しませんが、耐薬品性があるため、缶詰やチューブの内面塗装、フレオンの入るエアゾール容器、冷凍機の保護コーティング用などに用いられ、また金属パイプ、タンクなどの内面塗装、薬品製造の機械装置などの塗装仕上げなどに用いられています。