塗料の基本機能である被塗物の保護と美観の付与を実現するために、多種多様な顔料が使用されています。
塗料が単一種類の顔料だけで構成されることはまれで、一般的には2~5種類程度の顔料が用いられます。顔料の混合により、単にその中間色を得るのみならず、それぞれの顔料の特徴を複合化することで、繊細で複雑な意匠の発現や、美しくてさびも出ないという多様な性能発現が可能となります。
1.着色顔料
光の吸収や散乱により、塗膜に色彩や隠ぺい性を付与するために用いられ、有期と無機のものがあります。
一般的に、有機着色顔料は色彩が鮮やかでありますが、耐光性や耐熱性などの耐久性が無機着色顔料に比べて劣ります。ペリレン、ジケトピロロピロール、キナクリドン、イソインドリノン、イドインドリン、アンスラキノンは縮合多環式顔料と呼ばれ、フタロシアニン系顔料と共に比較的耐光性は良好です。無機着色顔料は耐久性能には優れますが、色彩の鮮やかさでは有機顔料に劣ります。ただし、白色の酸化チタンや黒色のカーボンブラックは無彩色ではあるものの、それぞれ白さや黒さは優れています。2.体質顔料
無機顔料の一種でありますが、無彩色で屈折率が低いので、塗膜中は透明あるいは半透明になります。このため、塗料を増量するコストダウンが配合の主目的になりますが、塗膜への硬度付与や衝撃緩和、塗料の粘度や比重の調整、原色塗料の着色力調整などのためにも用いられます。沈降性硫酸バリウムのように人工的に合成されるものもありますが、天然に産出される粘土鉱物や石灰岩を、粉砕・分級しただけのもの、さらに、必要に応じて精製や表面処理したものなどが用いられます。3.光輝顔料
顔料粒子が鱗片状の形をしており、被塗物表面と平行に配向すると、塗膜の明度や色調が塗膜を見る角度によって大幅に変化し、メタリック感やパール感などの意匠性を付与します。4.防錆顔料
さびを抑制するリン酸イオンやモリブデン酸イオンなどのインヒビターイオンを放出したり、塗膜下を塩基性雰囲気にすることで、被塗物(金属)の腐食を防止します。
以前は鉛やクロムが主に使用されていましたが、その毒性のために現在では大幅に制限され、重金属を含まない顔料の開発が行われています。