【問題】
金属溶射と塗装を併用する重防食法を採用し、素地調整法として圧縮空気を利用する加圧式ブラスト作業を管理することとなった。この管理着眼点とその理由を説明しなさい。
【解答例】
1.被加工物について
(1)ブラスト施工が可能かを確認する。もし、ブラスト処理が不可能である場合には、次工程の適切な処理が不可能となる。
(2)油脂分の付着の有無を確認する。これは、油脂分によりブラスト材の汚染を防止するとともに、溶射皮膜の密着性の良否に影響を与える。
(3)素材材質を確認し、その表面硬さに応じたブラスト材を決定する。素材の表面硬さによっては、ブラスト材料を変更しないと適切な表面粗さが得られないからである。
(4)溶接部の有無を確認する。表面粗さはもちろんアルカリ性物質がある場合は、皮膜の密着不良となる。
(5)表面に結露を生じる作業環境であるか。表面結露により被加工物表面に酸化膜あるいは発錆し、密着不良となる。
2.ブラスト作業
(1)ブラスト用圧縮空気が清浄かを確認する。油脂分および水があると皮膜の密着が不良となる。
(2)ブラスト用材料が清浄で適切な粒度かを確認する。ブラスト材料の汚染は、皮膜の密着不良を生ずる。
(3)ブラスト用圧縮空気の圧力、ブラスト角度、距離、ノズル径などのブラスト条件が適切かを確認する。所要の表面粗さが得られず皮膜の密着不良となる。
(4)ブラスト後から次工程に入るまでの経過時間が適切かを確認する。発錆および活性度の低下による皮膜の密着不良となる。
(5)ブラストに使用されたブラスト材料の重量およびブラスト加工時間の確認を行う。経済性を把握する。
3.ブラスト完了後
(1)ブラスト面の残留ブラスト材、粉塵の除去の確認を行う。ブラスト完了後の被加工物の表面に付着していると皮膜の密着不良となる。
4.公害対策
(1)粉塵、騒音に対して適切な対策がとられているかを確認する。公害の発生防止および健康管理を行う。