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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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無機質および有機質ジンクリッチペイント



【問題】
無機質ジンクリッチペイントと有機質ジンクリッチペイントの特徴を、比較しなさい。

【解答例】
1.無機質ジンクリッチペイント
 a)特長
 ・亜鉛粒子の金属接触が確実であり、防食性能が優れ、電気化学的防食機能の持続時間が
  大きい。
 ・電気化学反応によるアルカリ生成で塗膜劣化が起こらず、塗膜の膨れを生じ難い。
 ・耐熱性が良好である。
 b)短所(留意点)
 ・ホワイトメタルブラス処理が必要である。油脂などの汚染にも敏感である。
 ・塗膜硬化には適当な湿度範囲がある。
 ・硬化中の亀裂、気泡の発生を防ぐために過大な膜厚とならぬようにする。
 ・上塗りの吸い込みや気泡発生が起こりやすいので、ミストコートを必要とする場合がある。
  また、ジンクリッチ相互の塗り重ねにも注意が必要である。

2.有機質ジンクリッチペイント
 a)特長
 ・塗料配合の自由度が大きいので、塗膜物性、作業性などを向上させたり、
  硬化方法を選んだり、特性の異なる塗料を作ることが出来る。
 ・無機質と比較して、環境条件、下地処理程度など施工条件の許容度が大きい。
 ・無機質と比較して塗膜の加工性、たわみ性が良い。
 b)短所
 ・電気化学的防食機能の持続時間が比較的短い。
 ・鉄さびの発生は防止しても、塗膜の膨れが発生する場合がある。
 ・耐溶剤性が劣る。
 ・エポキシ系は低温硬化が遅い。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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シンナーの挙動と重要性



【問題】
塗装での溶剤(シンナー)の挙動と重要性について述べなさい。

【解答例】
 塗料からの溶剤の蒸発は、溶剤単独の時とは同じではなく、塗料からの方が遅い。理由は、(ⅰ)樹脂の溶解による蒸気圧の低下、(ⅱ)樹脂と溶剤の相互作用、(ⅲ)溶剤の内部拡散抵抗、(ⅳ)溶剤の蒸気とともに、塗料内部の濃度傾斜、(ⅴ)表面膜の生成のためである。
 溶剤の蒸発の初期は、恒量蒸発でうず流動を起こして、表面から蒸発する。校旗は粘度が上がるので溶剤分子は、塗膜表面層に拡散しながら蒸発する。一般に、溶剤の約90%が蒸発してしまうまでは、蒸発速度がほぼ同じで、85~90%くらいになると急激に低下し、終わりの5%くらいが全部蒸発するにはかなりの時間がかかる。そして、あまり早い蒸発のものは、ピンホール、ゆず肌、割れなどが出来、蒸発速度が遅いと乾燥が遅くなり、作業性を悪くし、ゴミの付着などがあるので極めて重要な材料である。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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指触乾燥、塗膜のTg、塗膜の老化



次の項目について、説明しなさい。

(1)指触乾燥
 塗膜が乾燥する過程で、塗膜を軽く押さえて、粘着性はあるが塗膜が指につかなくなった状態をいい、その10000ポイズ(一般に、その樹脂の軟化点における粘度に相当するもので、固体-液体の境界領域の粘度である)程度であり、溶剤分はある。

(2)塗膜のTg
 塗料に使用されている樹脂のガラス転移温度をTgという。このガラス転移温度とは、樹脂の温度が上昇したときに粘弾性が変化し、そのときのガラス状領域とゴム状領域の間の転移域の中心温度をいう。この温度を境にして塗膜の性質(硬さ、付着、内部応力、たわみ、耐薬品性など)は大きく変わる。
 Tgを高くするには、例えば橋かけ密度を上げるなど多数の研究がなされている。

(3)塗膜の老化
 塗膜の老化は、主として太陽光線による光化学的な酸化劣化、熱があれば促進される。塗膜中の揮発性の分解物の損失があると、塗膜の収縮が大きくなり割れの生成を助長する。また、酸化劣化で樹脂は極性が増えるため、水分の透過も多くなり、膨張収縮も増大し活性が失われ、顔料、金属面への付着力がなくなり、剥離しやすくなる。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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