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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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リン酸クロメート処理



反応型クロメート加工液中のアニオン成分として、特にリン酸を添加した場合については、クロム酸クロメート皮膜ではなく、リン酸クロムを主成分とする皮膜を形成するため、リン酸クロメート処理と称して、クロム酸クロメート処理と区別されます。
 リン酸クロメート皮膜の生成機構は、クロム酸クロメート処理同様、素地のエッチングによってクロム酸が3価のクロムに還元されるところから始まりますが、生成した水酸化クロムからはクロム酸クロムを生じることがなく、リン酸と反応して難溶性のリン酸クロムが皮膜として析出します。
 リン酸クロメート処理は、高い耐食性を有することはもちろん、皮膜中に6価クロムを含有しないこと、皮膜が難溶性であることなどの特徴を有し、各種塗装の前処理や、6価クロムの溶出を嫌う部材(アルミ缶の表面処理など)に対して広く使用されています。
 なお、アルミニウム合金に対してリン酸クロメート処理を施した場合、アルミニウム素地とクロメート皮膜界面は、クロム酸クロメート皮膜と同様に、酸化アルミニウムやフッ化アルミニウムが偏析していることが知られています。

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クロム酸クロメート処理



反応型クロメート加工液中には、皮膜の主成分となるクロム酸のほかに、エッチング剤として各種無機酸(アニオン成分)が添加されています。亜鉛めっき材用の加工液は硫酸、フッ化水素酸といったアニオンを含有し、アルミニウム合金用加工液にはフッ化物錯体を含むフッ化水素酸が必須成分として含まれています。
 クロム酸クロメート皮膜の生成機構は、まず素地のエッチングにともなって6価のクロム酸が3価のクロムへと還元され、さらに素地表面のpH上昇によって、生成した水酸化クロムとクロム酸が非晶質のクロム酸クロムを生成し析出します。なおクロム酸クロム析出の際、エッチング剤として添加される各種アニオン成分も、一部皮膜中に取り込まれることが知られています。
 アルミニウム合金用のクロム酸クロメート処理の場合、皮膜化成促進剤としてタングステン化合物やフェリシアン化カリウムなどを含むものもあり(ただしフェリシアン化カリウムについては、西院郊外面からあまり使用されていません)、それぞれの皮膜の析出機構を促進します。クロメート皮膜とアルミニウム素地の界面には、エッチング反応によって形成される酸化アルミニウム層やフッ化アルミニウム層が残存します。また、促進剤としてフェリシアン化クロムがクロメート層の最表面に偏析し、タングステン化合物を用いた場合には、6価のタングステン化合物が皮膜中に均一に分布します。

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反応型クロメート処理



クロメート処理は、主として金属の耐食性および塗装性能を向上させる目的で、金属表面にクロムの水和酸化物を析出させる処理方法です。クロメート処理はその処理方法によって、
①皮膜化成反応によって皮膜を析出させる反応型クロメート処理
②浸漬やスプレーにて塗布したクロメート液をエアーナイフにて絞るか、あるいはロールコータで塗布し焼き付けを行う塗布型クロメート処理
③陰極電解により皮膜を析出させる電解型クロメート処理
の三方法に分類することが出来ます。当ブログでは、皮膜化成処理の範疇である反応型クロメート処理を取り上げます。
 反応型クロメート処理は、皮膜成分としてクロム酸クロムが形成されるクロム酸クロメート処理と、加工液中にリン酸を添加することにより、リン酸クロムを皮膜として析出させるリン酸クロメート処理とに大別されます。他方、反応型クロメート処理は一部マグネシウムにも適用されますが、一般的に亜鉛めっき材またはアルミニウム合金の表面処理方法として用いられる場合が多く、素材によってそれぞれ処理条件が若干異なることから、素材別に処理法を分類することも出来ますが、当ブログでは皮膜成分の違いを優先し、前者の分類にしたがって解説していきます。

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