美粧の第一は着色です。色はその製品の印象を特徴づける重要な要素であり、同種の塗料でも色の違いにより多数の製品が生産されます。指定された色を作り出す技術(調色)と色を活用する技術(カラーデザイン)が重要です。例えば、住宅外壁などの色は、単に個人の好みで色を選べばよいというわけではなく、公共空間の色彩構成要素としての整合性も要求されます。
物体の色は、物体に当たると光の強度分布、反射の仕方、及びそれを見る人間の感覚(視覚)によって決まります。同じ色味でも光沢の度合いによって見え方は多く変化します。平滑性がよく、正反射光が多い(つや、光沢がある)と色は鮮やかに見えますが、表面に微細な凹凸を形成してつや消しにすると、若干彩度が下がって落ち着いた色合いになります。メタリックカラー、パールカラーなどは、扁平な光輝性顔料による塗膜中での光の非等方性反射を利用しています。
均一、平滑な面を作るばかりが塗料ではありません。色むらや色まだらをうまく利用して意匠性を出す塗料もあり、多彩模様塗料と呼ばれます。また、塗膜の凹凸も意匠性を出す有効な方法であり、下地面の不完全さを目立たなくする効果とも合わせて、建築仕上げ塗材で積極的に用いられています。
このように、塗料で実現できる美粧性には無限の広がりがあります。