塗装の目的は、もちろん例外はありますが、一般に被塗物の保護と美観を与えることです。この目的すなわち塗装効果を十分に達成するためには、
①塗装の材料である塗料の品質(性能)が優秀(よい材料)
②適切な塗装系の選択(よい設計)
③十分な塗装作業管理(よい作業)
の三つを満足しなければなりません。
塗料・塗装工業ばかりではなく、資源・エネルギーの節約は今や全世界的な政治問題にまでなっています。このような省資源・省エネルギーの基本的な考え方は物体の寿命を延ばし、無駄をなくすことです。無駄な生産増大の排除は直接公害防止に繋がります。換言すれば、被塗物保護と美観を長く維持することが資源の節約であり、公害防止の最重要な方策であります。
安価であっても低級品質の塗料を使用し、不適切な塗装系の選択や塗装作業管理では、被塗物の耐用年数を縮めすぐ塗り替えなければなりません。このことは塗装作業や塗料(75%以上が石油化学製品である)を浪費するばかりでなく、環境を汚染する、その上耐用年数が短縮しますから、それだけものを多量生産しなければ成りません。高価でも性能優秀な塗料を使用することが結局は経済的なことは言うまでもありません。近年、半永久的な保護を企図するメンテナンスフリーの塗装が脚光を浴びはじめたことは当然といえます。