忍者ブログ

塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

[PR]



×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


にほんブログ村 科学ブログ 技術・工学へ にほんブログ村 住まいブログ 塗装・ペンキへ にほんブログ村 環境ブログ 大気・水・土壌環境へ
にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村


塗膜の保護機能



保護の対象として最も大きいのは鉄鋼です。鋼材の腐食を軽減するのが防食塗料の役割です。
 塗料による防食の機構は次のように説明されています。一つには、水、酸素、塩類などの腐食に関与する物質を塗膜により遮断し、鋼材の表面まで到達させないことです。もう一つは、塗膜中の防食顔料により表面を腐食しない化合物に変える(不動態化)方法です。さらに、塗膜成分が犠牲陽極となり鉄を保護する防食塗料もあります。ジンクリッチペイントには多量の亜鉛粉末が入っており、鉄よりも亜鉛の方がイオン化傾向が大きく酸化されやすいために亜鉛の酸化が進行して鉄は腐食されません。
 コンクリートは空気中の水、炭酸ガス、二酸化硫黄などによって劣化します。コンクリートの中性化が進むと機械的強度が低下するとともに、コンクリート中の鉄筋が腐食します。塗料はコンクリート中への大気成分の侵入を防止し、コンクリートの劣化を防止し、コンクリートの保護に役立っています。
 木材は光、酸素、水などによる腐食のほかに、微生物、昆虫などの生物による腐食・食害も受けます。生物による腐食を防止するためには防かび材、防虫剤などを含有した塗料を用います。
 塗膜が劣化して保護機能が低下した場合には、塗り替えることによって機能を回復させることができます。汚染、退色などで美粧性が低下した場合でも塗り替えにより快適環境が再生可能です。塗り替え可能であるということは、塗料の大きな特長であります。塗り替え周期は要求される性能とコストとのバランスで決められます。例えば、東京タワーは5年周期で塗り替えており、東京スカイツリーは25年周期の塗り替えを想定しています。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


にほんブログ村 科学ブログ 技術・工学へ にほんブログ村 住まいブログ 塗装・ペンキへ にほんブログ村 環境ブログ 大気・水・土壌環境へ
にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村


拍手[0回]

PR

塗膜の美粧機能



美粧の第一は着色です。色はその製品の印象を特徴づける重要な要素であり、同種の塗料でも色の違いにより多数の製品が生産されます。指定された色を作り出す技術(調色)と色を活用する技術(カラーデザイン)が重要です。例えば、住宅外壁などの色は、単に個人の好みで色を選べばよいというわけではなく、公共空間の色彩構成要素としての整合性も要求されます。
 物体の色は、物体に当たると光の強度分布、反射の仕方、及びそれを見る人間の感覚(視覚)によって決まります。同じ色味でも光沢の度合いによって見え方は多く変化します。平滑性がよく、正反射光が多い(つや、光沢がある)と色は鮮やかに見えますが、表面に微細な凹凸を形成してつや消しにすると、若干彩度が下がって落ち着いた色合いになります。メタリックカラー、パールカラーなどは、扁平な光輝性顔料による塗膜中での光の非等方性反射を利用しています。
 均一、平滑な面を作るばかりが塗料ではありません。色むらや色まだらをうまく利用して意匠性を出す塗料もあり、多彩模様塗料と呼ばれます。また、塗膜の凹凸も意匠性を出す有効な方法であり、下地面の不完全さを目立たなくする効果とも合わせて、建築仕上げ塗材で積極的に用いられています。
 このように、塗料で実現できる美粧性には無限の広がりがあります。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


にほんブログ村 科学ブログ 技術・工学へ にほんブログ村 住まいブログ 塗装・ペンキへ にほんブログ村 環境ブログ 大気・水・土壌環境へ
にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村


拍手[0回]

塗膜層の役割分担



塗膜への多くの要求特性を1種類の塗膜層で達成することは困難な場合も多く、通常異なる性質の塗料の塗り重ねが行われます。塗り重ねられるそれぞれの塗膜は役割を分担しており、多層膜全体で総合的に塗装の目的を達成します。
 目的に応じて、中塗り塗料あるいは中塗りと下塗り塗料が省略されることがあります。これらの場合には、上塗り塗料が中塗りあるいは中塗りと下塗りの役割も受け持つことになります。また一回の塗装で必要な膜厚が得られない場合には、同種の塗料が複数回塗り重ねられます。
 ほとんどの場合に被塗装物は塗装前処理されます。その目的は、被塗装面の清浄化、塗膜と被塗装物との付着性の向上、防食、平滑化などになります。被塗装物に割れ、へこみなどのある場合にはパテにより平滑な表面にします。
 下塗り塗料はプライマーとも呼ばれ、その塗膜は防食と付着性の向上が主な役割です。そのほか、木材、コンクリートなどの多孔性の被塗装物には、孔をふさぐ機能を持つフィラーと呼ばれる塗料を下塗りして表面を平滑にします。また、これらの材料からは、ヤニやアルカリが溶出してくるので、シーラーと呼ばれる塗料を下塗りして、それらの溶出を防ぐことも行われます。
 中塗り塗膜は被塗装物表面の平滑化、下塗りと上塗り塗料の付着性の向上、丈夫な物性による外力からの保護、水、酸素、イオンなどの腐食物質のバリヤーが主な役割です。平滑化を主な目的とする場合はサーフェーサーと呼ばれます。
 上塗り塗膜は美粧と耐久性の付与が主な役割です。そのために着色、光沢、耐傷付き性のための硬度、耐汚染性、耐候性などが要求されます。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


にほんブログ村 科学ブログ 技術・工学へ にほんブログ村 住まいブログ 塗装・ペンキへ にほんブログ村 環境ブログ 大気・水・土壌環境へ
にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村


拍手[0回]

広告リンク

ブログ内検索

忍者AdMax

楽天市場

ランキング

ランキング