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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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主要なさび止め塗料:中塗り塗料~MIO塗料



防食塗装系において独特な中塗りとしてMIO塗料があります。
 MIOはMicaceous Iron Oxide(鱗片状酸化鉄)の略で、天然鉱石より生成された暗褐色の結晶性酸化鉄で鱗片状をなす顔料で、塗膜面に平行に並ぶ性質があり、外部から浸入する物質の透過経路を長くすることによって塗膜の遮断機能を向上します。また日光を反射するので耐白亜化性が良くなります。MIO塗料を中塗りとして使用する場合は2つの利点を生じます。
 第1点は上塗りとの塗装間隔が長くなっても、中塗りと上塗りの層間付着性の低下が少ないことです。これはMIO塗膜面が比較的表面あらさが大きく、上塗りの付着性が良いこと、ほとんど白亜化しないことによると考えられます。
 鋼構造物の防食塗装の場合、工場塗装で下塗りを行い現地建設作業終了後中塗りを塗装することが多く、下塗りと中・上塗りの塗装間隔が長くなることがあります。この際に工場の最終塗装をMIO塗料中塗りとすることにより層間付着性の確保をはかることができます。
 第2点は、通常塗り重ねのことのできない下塗りと上塗りの間にMIO塗料を中塗りとして入れることにより、その組合せを可能にする利用法です。
 MIO系中塗り塗料は顔料濃度が大きく、それ自身耐溶剤性が大きいとともに上塗りの溶剤が下塗りまで浸透することを防ぐ機能を有します。たとえば油性さび止めペイントの上に塩化ゴム系塗料の溶剤が油性さび止めペイントの塗膜を膨潤させるので通常このような組合せの塗り重ねはできません。しかし、下塗り油性さび止めペイント、中塗りフェノール樹脂系MIO塗料、上塗り塩化ゴム系塗料の塗装系にすれば、塗り重ねが可能になります。この塗装系は橋梁・石油タンクなど鋼構造物用に実用されています。MIO塗料には、フェノール樹脂系とエポキシ樹脂系があります。

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主要なさび止め塗料:中塗り塗料~概要




 中塗り塗料は性質の異なる下塗り塗料と上塗り塗料との間に塗布して塗膜全体の防食性や耐候性を向上させるものです。
 中塗り塗料に必要とされる性能には次のようなものがあります。
 (1)下塗り塗膜と上塗り塗膜の間の付着性をよくする。
 (2)下塗り塗膜が上塗り塗膜に浸されるのを防ぐ。
 (3)上塗り塗膜と近い色にすることにより、上塗り塗膜による下塗り塗膜の隠ぺいを助ける。
 (4)上塗り塗膜の仕上がり(光沢・平滑性など)をよくする。ただし、中塗りを使用せず
   下塗りに直接上塗りを塗り重ねる場合も多い。
 一般に下塗り塗料は防食性能を増すためにさび止め顔料を用い、かつ顔料分が多くビヒクルが少なくなっています。中塗り塗料は下塗り塗料と上塗り塗料の中間的な組成を有しており、さび止め顔料はほとんど用いず、用いても少量です。顔料分は下塗り顔料よりは少なく、上塗り塗料より多いです。
 ビヒクルは反対に、下塗り塗料よりは多く上塗り塗料よりは少ないです。下塗りまたは上塗りと同一系統のビヒクルの塗料を用いるのが普通ですが、特別な必要性により異なる塗料が用いられることもあります。
 中塗り塗料は下塗り塗料に対して密着性が良いといっても、長期間経過した下塗り塗膜(通常は6か月以上)の上に塗装する場合は、下塗り塗料を一層塗布するか、下塗り塗膜の表面を少し研磨して密着性を増す必要があります。また中塗り塗膜を長く放置すると上塗り塗料との密着性が悪くなるので、塗り重ねインターバルを厳守する必要があります。中塗り塗料の色は、上塗り塗料に近い色が用いられます。上塗り塗料の色が赤や黄のように隠ぺい力の小さい場合には、中塗り塗料の色の選定に特に注意が必要です。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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主要なさび止め塗料:下塗り塗料(2)



合成樹脂系防食塗料

 各種の合成樹脂が防食塗料に応用されるようになって、油性系さび止めペイントでは耐え得ないような厳しい腐食環境でも有効な防食塗料が開発されました。このような塗料を用途に応じて適切に選択することにより、高性能、高耐久性の防食塗装が可能となります。
 ただしここで注意が必要なことは、一般に合成樹脂系塗料は油性系塗料と比較して施工上の制限条件が難しいことです。特に、ほとんどの塗料(ジンクリッチペイントも含めて)の場合にブラスト処理による素地調整が必要です。

 鋼構造物の防食塗料に使用されるエポキシ樹脂塗料は主として、ポリアミドやアミンアダクトなどを硬化剤とする二液形塗料です。厚膜型塗料、低溶剤形塗料、無溶剤形塗料とすることもできます。ウレタン樹脂塗料も二液形塗料で、ほぼ類似した特性を有していますが、素地との付着性はエポキシの方が優れています。エポキシ系は大気曝露条件で白亜化しやすい欠点がありますが、ウレタン系は耐候性が良いです。
 下塗として使用する場合に、中塗りの塗装間隔が長くなると層間付着性が悪くなるので注意を要します。ウレタン樹脂系は低温乾燥性が良いので冬期にエポキシに代わって用いられることが多いですが、最近ではエポキシ樹脂系でも低温乾燥性の良いものが開発されました。ウレタン系は高湿度下で塗装すると発泡する傾向がありますので注意を要します。
 エポキシまたはウレタン樹脂にタール系塗料(タールピッチや膨潤炭など)を配合した塗料は極めて防食性が優れ、厚塗りが可能であるため、高度の防食性能と耐久性が必要な箇所や、塗り替え塗装に困難が伴う箇所などに用いられます。ほかの合成樹脂系塗料と比較して素地への浸透性が良く、不完全な素地調整面への適応性がやや良いです。この塗料には防錆顔料が配合されておらず、防食効果はもっぱら塗膜の環境遮断機能によるものですから、塗装に当たっては必要な塗膜厚を確保してピンホールのないように施工することが非常に重要です。色調が黒色、さび系に限られており、また着色塗料を塗り重ねてもブリード(にじみ)しやすいので美装仕上げには適しません。
 変性エポキシ樹脂塗料はエポキシ樹脂の一部を他の樹脂で置換したものですが、タールエポキシ樹脂塗料のタール系材料を他のブリードしない樹脂と置換したものともいえるのでノンブリードタールエポキシ樹脂塗料とも呼ばれることがあります。
 置換する樹脂、すなわち変性樹脂としては原油高温分解時や石油化学製品合成時の副生成物、コールタール分解時の生成物、ロジン誘導体などが使用されています。変性樹脂に低分子量のものを使えば素地への浸透性が良く、付着性も良好です。
 この種の塗料は高度の素地調整が不可能な場合、現地塗り替え、補修塗装などに適用することができます。着色塗料を塗り重ねた場合、タールエポキシ樹脂塗料のようなブリード現象が起こらないので美観の必要な箇所にも使用することができます。防食性能においてタールエポキシ樹脂塗料とほぼ同等の性能も得られています。
 防食塗料に用いられる塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体が代表的なものです。塩化ビニル系樹脂は一般に分子量が高く、高不揮発性分のワニスが得難いので一度に厚膜に塗装することが出来ませんでしたが、最近では厚膜の得られるタイプの塗料が出現しています。
 塩化ゴム系塗料は、塩化ゴム、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化樹脂と可塑剤、安定剤、アルキド樹脂などの変性用樹脂から成る塗料です。塩化ビニル系塗料も塩化ゴム系塗料もいずれも熱可塑性樹脂で一液形の溶剤揮発によって乾燥する形の塗料で、耐水性・耐海水性などに優れています。耐熱性・耐溶剤性は良くありません。速乾性であることは素地への湿潤性が悪くなり、悪素地適性はなく適切な防食下地(ジンクリッチプライマーが適している)を要します。

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