中塗り塗料は性質の異なる下塗り塗料と上塗り塗料との間に塗布して塗膜全体の防食性や耐候性を向上させるものです。
中塗り塗料に必要とされる性能には次のようなものがあります。
(1)下塗り塗膜と上塗り塗膜の間の付着性をよくする。
(2)下塗り塗膜が上塗り塗膜に浸されるのを防ぐ。
(3)上塗り塗膜と近い色にすることにより、上塗り塗膜による下塗り塗膜の隠ぺいを助ける。
(4)上塗り塗膜の仕上がり(光沢・平滑性など)をよくする。ただし、中塗りを使用せず
下塗りに直接上塗りを塗り重ねる場合も多い。
一般に下塗り塗料は防食性能を増すためにさび止め顔料を用い、かつ顔料分が多くビヒクルが少なくなっています。中塗り塗料は下塗り塗料と上塗り塗料の中間的な組成を有しており、さび止め顔料はほとんど用いず、用いても少量です。顔料分は下塗り顔料よりは少なく、上塗り塗料より多いです。
ビヒクルは反対に、下塗り塗料よりは多く上塗り塗料よりは少ないです。下塗りまたは上塗りと同一系統のビヒクルの塗料を用いるのが普通ですが、特別な必要性により異なる塗料が用いられることもあります。
中塗り塗料は下塗り塗料に対して密着性が良いといっても、長期間経過した下塗り塗膜(通常は6か月以上)の上に塗装する場合は、下塗り塗料を一層塗布するか、下塗り塗膜の表面を少し研磨して密着性を増す必要があります。また中塗り塗膜を長く放置すると上塗り塗料との密着性が悪くなるので、塗り重ねインターバルを厳守する必要があります。中塗り塗料の色は、上塗り塗料に近い色が用いられます。上塗り塗料の色が赤や黄のように隠ぺい力の小さい場合には、中塗り塗料の色の選定に特に注意が必要です。