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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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超高速回転機の軸受




 超高速回転機の代表例としてガスタービンがあり、自動車用などのガスタービンが開発されてきました。ガスタービン発電機は、回転子の超高周速に対処するため、回転子に界磁巻線をもたない、くし形磁極のクローボール回転子構造を採用しています。軸受は、超高速回転機の最重要課題の一つであります。これまでに超高速回転機用としてジェット給油式ころがり軸受、セラミック気体軸受、および磁気軸受が開発されてきました。以下にその概要を紹介します。

●ころがり軸受

 クローボール発電機用軸受として、最初にジェット給油式ころがり軸受が採用されました。この発電機では、回転子の振動が極めて大きくなる危険速度を超えて定格回転に到達する必要があります。しかし、ころがり軸受単体では振動を減衰させる効果が少なく、この危険速度を超えることができません。そこで、軸受スリーブと軸受ハウジングの間に潤滑油を注入して、スクイズフィルムによる振動減衰効果を利用した高信頼性超高速回転ジェット給油式ころがり軸受(dmn値2,000,000)を開発し、実用化されています。

●気体軸受

 密閉型発電および電動機駆動システムの清浄運転、極低温から高温までの使用温度範囲拡大を目的に、従来の油潤滑ころがり軸受に代わって、システムの作動媒体を潤滑剤とした動圧型気体軸受が開発されました。
 超高速運転時には、温度上昇や遠心力による変形が無視できないため、これらを十分に考慮した設計を行い、高速安定性を図っています。また、動圧型気体軸受は起動・停止時に軸と軸受が接触するため、摺動面の損傷が問題となり高荷重化が困難でした。そこで、軸受および軸材については、摩耗評価試験を行い、優れた特性が確認されたセラミックス製軸受および超硬合金をコーティングした軸を採用して、高荷重化を実現しました。偏心支持パッドジャーナル軸受およびスパイラル溝付きスラスト軸受により、ジャーナル軸受荷重8kgf(軸径70mmΦ)、スラスト軸受荷重16kgf(スラスト外形100mmΦ)の条件下で50,000rpmを達成することができました。

●磁気軸受

 これまで紹介してきた軸受は、軸を非接触な状態に保つために、油や空気などの潤滑剤を不可欠としました。しかしながら、磁気軸受は磁気力を利用し、これを制御して軸を浮上させるので潤滑媒体を必要としません。このため、気体軸受と同様にシステムの作動媒体中での清浄運転が可能であるばかりでなく、軸受隙間を大きくできることから、一層の低損失化が図れます。また、真空条件での使用など適用範囲が広いため、特殊用途の高速回転機用として、磁気軸受は開発されてきました。
 能動型磁気軸受は超高速回転体に適用でき、ロータのアンバランス、危険速度やジャイロ効果などを考慮した電子制御技術が重要となります。また、一般に磁気軸受の作用点と変位検出点とが軸方向に異なるため、回転軸の振動モードによっては制御が発散し、その結果、弾性モードの危険速度での共振現象を生じることがあります。これを解決するためには、高精度な回転軸系の振動解析を行い、磁気軸受と変位検出センサの位置決めを行っています。
 試作した5軸制御型磁気軸受装置では、ラジアル軸受荷重9.5kgf、軸径70mmΦで40,000rpmを達成しています。また、0~40,000rpmの範囲で回転軸と軸振動の関係を調べた結果、40,000rpmで約3μmp-pと高速回転領域で非常に安定であり、全体的にも低振動を実現していることがわかっています。

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高荷重・高安定性水中軸受の開発




 インターナルポンプ、ポンプ水車などの軸受には水中軸受が使用されています。
 この種の軸受は、粘性の低い水潤滑によって、負荷容量が小さく水膜が破断して軸と軸受が接触してしまう可能性があります。このため、耐摩耗性を考慮した材料の組み合わせが重要になってきます。
 そこで、新素材と表面改質の開発が実施され、軸受材にはカーボン系とセラミックス系を、軸材には超硬合金が適用されています。
 軸受および軸材の選定にあたっては、テストピースによる摩擦・摩耗評価試験が行われ、さらにモックアップ試験によって、その性能と信頼性が確認されています。
 インターナルポンプ用軸受は金属含浸カーボン製であり、しかも三円弧偏心という特殊な軸受形状を採用しています。その結果、摩耗特性に優れるばかりでなく、高圧水環境下での、回転軸系の制振効果が大きい軸受を開発することができています。
 また、セラミックス系の軸受においては、各種セラミックス材と超硬合金素材の組合せ評価試験を行い、軸受材として窒化ケイ素と炭化ケイ素を、また軸材としてタングステンカーバイドとニオブカーバイドを選定し、ポンプ用セラミック軸受が開発されました。

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宇宙環境と潤滑剤




 宇宙環境について、トライボロジーの観点から留意すべきポイントは以下の4点になります。

 (1)雰囲気圧力
   宇宙空間は10^-5Pa以下の超高真空雰囲気です。このような雰囲気では通常の潤滑剤は蒸発
  してしまいます。また、対流熱伝達による放熱が期待できないために摩擦面の温度が上昇して
  しまいます。
 (2)雰囲気温度
   機器が太陽からのふく射を受けて加熱されるか否かによって大幅な温度変化を生じます。
  機構部は、温度変化が少ない場所にあるのが普通ですが、それでも変化幅が-150℃~+150℃
  程度と大きくなる場合もあります。広い温度範囲での潤滑性能の確保、大きな温度変化に対応
  できる潤滑処理の採用、軸受嵌(かん)合部の熱変形を考慮するなど、軸受回りの最適設計が
  ポイントとなります。
 (3)放射線
   静止軌道上の機器が10年間に浴びる放射線量は、遮蔽(へい)の程度により変化しますが、
  1mm厚さのアルミニウムによる遮蔽では10^-5Gy程度あり、無視できるレベルではありません。
  使用する潤滑剤の耐放射線性に配慮を払う必要があります。
 (4)原子状酸素
   高度250km程度の空間には原子状酸素が存在し、機器の表面を形成する部材が損傷を受け
  ます。この損傷は、有機材料において特に著しいといわれており、潤滑剤への影響について
  検討する必要があります。

 以上述べたような宇宙環境で、機器の潤滑に使用できる潤滑油、グリース、固体潤滑剤について説明しておきます。
 潤滑油、グリースでは、高真空中、温度変化の大きい環境を想定して、蒸気圧が低く、温度による特性変化が小さい潤滑油を採用する必要があります。これらの特性を備えたパーフルオロポリエーテル(PFPE)が使用されます。しかしながら、最近ではPFPEの耐放射線性、長期にわたり真空中で摺(しゅう)動したときの物性の安定性に疑問が持たれており、一層の研究が必要とされています。
 固体潤滑剤としては金、銀、鉛のような軟質金属、二硫化モリブデン、二硫化タングステンなどの層状結晶構造をもつ材料、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で代表される高分子材料が用いられます。これらの固体潤滑剤は固体の表面に薄い潤滑膜を形成して使用します。膜の形成方法としては、軟質金属ではめっき、イオンプレーティング、スパッタリングが代表的な方法になります。層状結晶構造物は、スパッタリングによる薄膜形成、ないしは層状結晶構造物と結合材の混合物を塗布、焼成する方法がとられます。PTFEは、充填(てん)剤とともに混合成形した高分子複合材料として用いる方法や、自己潤滑性保持器としてころがり軸受に適用するのが一般的です。
 ころがり軸受のボールのような転動面には二硫化モリブデンのスパッタリング膜、多少すべりが生ずるころがり面には軟質金属のイオンプレーティング膜、歯車の歯面のようなころがりすべり面には二硫化モリブデン焼成膜を用いるのが一般的です。ただし、機器の使用環境・寿命などを十分検討したうえで、最適な潤滑方法を選択しなくてはなりません。

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