●金属加工油
金属を高速圧延処理する場合の圧延油として部分エステル化ポリオールエステルが検討されました。このエステルは所定の圧下率において、圧延油の延びがよいために高速圧延でも油膜切れを起こさず、圧延エネルギーを減少させることができるのです。
熱間圧延において、圧下率40%時の圧延荷重は、鉱油の5.8~6.3tに対して、ポリオールエステルは4.3~4.7tを示し、鉱油使用時の約7割のエネルギーで圧延が可能だといわれています。そのほか、ポリオールエステルは鋼板表面の被覆さび止め剤やプレス加工潤滑油としても用いられます。●グリース
ポリオールエステルを基材とするグリースは高温安定性や低温特性が要求される分野で使用されます。現在、低揮発性、低温流動性、のコンプレックスエステル(トリメチロールプロバン、二塩基酸、一塩基酸から合成)が検討されています。●繊維油剤
合成繊維の紡糸工程の高温高速化、省力化に対応するために、発煙性、タール化、着色性の少ない油剤が要望されており、ポリオールエステル、コンプレックスエステルなどが検討されています。●熱媒体
最近、中低温排熱(例えば250℃)を利用した油・フロン排熱利用発電システムが開発されつつありますが、そこでフロンと反応しにくい耐フロン性の油が要請されています。ポリオールエステルはフロンと反応を起こしにくい性質があります。