●空気圧縮機油
空気圧縮機油に関連する火災や爆発事故の40%は、潤滑油が高温高圧の空気と温接触により激しく酸化され、その結果生成したカーボン状物質が吐出弁や吐出配管に堆積することが原因となっています。鉱油系圧縮機油ではカーボン状物質を皆無にすることはできません。
空気圧縮機油の酸化安定性とカーボン化傾向を同時に評価できる示差熱-熱天秤法が提案され、この方法による"発熱開始温度"が酸化安定性、"10%減量温度"が引火点、"ピークⅡ残炭量"がカーボン化傾向と強く相関していますが、ポリオールエステルはこれらのいずれの値においても優れた結果を示しています。
さらにまた、大型圧縮機に対してISO VG32級の比較的高粘度のポリオールエステルを用いると更油に比べて1~2%の動力消費節減効果が得られています。●難燃性作動油
油圧装置の精密化、自動化により高性能かつ難燃性の作動油が要求されています。ポリオールエステルは鉱油やリン酸エステルよりも高い引火点、燃焼点を有し、優れた酸化安定性や粘度指数を示すため、難燃性の合成作動油として以前から米国、西欧、日本などで鉱油系、リン酸エステル系の市場分野で使用されてきました。ポリオールエステルは鉱油と比較して高温時の着火遅れ時間が長く、延焼速度も遅く、油中にスラッジも生成しません。また、粘度指数が高いためにポリマー系粘度指数向上剤を必要としないため、粘度低下現象を示さず、長期使用が可能となり、使用温度範囲が広くなるといわれています。
ポリオールエステルはゴムシール材(特にニトリルゴム)に対して影響を与えず、油圧タンクにさび止め塗装される塗料材料に対してフェノール樹脂以外は塗膜に変化を与えません。