忍者ブログ

塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

[PR]



×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


にほんブログ村 科学ブログ 技術・工学へ にほんブログ村 住まいブログ 塗装・ペンキへ にほんブログ村 環境ブログ 大気・水・土壌環境へ
にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村


コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

【自動車】高級感のある塗装外観を得るための工夫:顔料




 顔料は色調から有色・無色顔料、化学構造上からは無機・有機顔料に分けられます。白色顔料には酸化チタン、黒色顔料にはカーボンブラック、有色顔料には無機・有機顔料が使用されます。有機顔料は色調が鮮やかな点が特長になります。
 白色顔料には、光をほとんど吸収することなく大部分を反射するものが好適です。樹脂の屈折率は1.49~1.60程度ですので、これより屈折率の大きい物質を用いるほど、顔料と樹脂の界面での光の散乱が大きくなり、より白く見えます。無彩色顔料と称されるもの(例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウムなど)は屈折率が1.5前後で樹脂のそれとあまり変わらないため、樹脂中で白色を呈しません。したがって、白色顔料として屈折率の高い酸化チタン(ルチル、屈折率2.6~2.9)が用いられます(アナターゼ、屈折率2.5)。ルチルの純度が低かったり、別の結晶構造のアナターゼを含んだりすると白色度が低下するので、純度や結晶形の制御が重要になってきます。粒径が小さくなると表面積が大きくなり、反射率は大きくなりますが、光の波長と同程度あるいはそれより小さくなると、光の透過が始まり、散乱は小さくなってしまいます。屈折率1.48の媒体中に分散した屈折率2.71の酸化チタンは、粒径0.34μmで最大散乱を与えると計算されます。したがって、塗料用酸化チタンの一次粒子径はこの値付近に制御されています。
 一方、有機顔料は共役二重結合と助色団の系の電子のπ→πおよびn→π遷移によって発色します。アゾ系、共役ポリエン系、多環縮合系など多数の顔料がありますが、無機顔料に比較して劣る点が多かったため、化学構造面からの改良が行われ、フタロシアニン系・キナクリドン系顔料が開発されました。有機顔料にも、化学構造が同じでも二つ以上の結晶構造をとるものがあります。無置換キナクリドン顔料はα、β、γ三種の結晶形を持ち、α、γ型は赤、β型は赤紫色を示します。したがって、結晶形ごとに光学的性質が異なるので、特定の結晶形だけを取り出すための顔料処理法が重要になります。
 また、顔料の粒径によっても色は変化します。最適粒子径は顔料の吸収波長の0.3~0.5倍の大きさになります。これより小さくなると、塗膜の透明性が増し、鮮やかさが増すと同時に短波長の光ほど散乱が大きくなるので、散乱光は青みを帯びてきます。逆に粒子径が大きくなると、透過光が大きくなり、鮮やかさが低下すると同時に顔料の色に対して補色関係の色の割合が多くなります。
 一方、光の特殊な反射を利用する方法として、アルミニウム粉や表面を酸化チタンでコーティングしたマイカなどを用いる方法があります。前者では、偏平なアルミニウム粉を塗膜中で表面と平行に配向させています。そこで、入射角と観測角を変えて塗膜を眺めると、光路長が変化するので異なったメイドや色調を示すと同時に、アルミニウム粉からの反射によって金属光沢を示します。後者では、酸化チタンの量で干渉色を制御しているため、真珠のような色調や光沢を示すものになります。
 以上の点から顔料に関しては、純粋な物質の特定の結晶形を用い、粒子径を揃えて使用することにより美しさを発現させ、また、粒子の配向を制御することにより光の特殊な効果を発揮させているといえるでしょう。

JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


にほんブログ村 科学ブログ 技術・工学へ にほんブログ村 住まいブログ 塗装・ペンキへ にほんブログ村 環境ブログ 大気・水・土壌環境へ
にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村


コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

広告リンク

ブログ内検索

忍者AdMax

楽天市場

ランキング

ランキング