【耐水性】
●吸湿性
油中の水分は長期間の貯蔵や使用の際の油の品質や、潤滑時の摩耗などに対して影響を及ぼすことがあります。製造直後の合成潤滑油が0.10%に達する水分を含有することがあり、また、開放大気中で大気下に保存すると、8ヶ月後で0.27%に達する事例があります。
エステル系合成潤滑油の吸湿性を20℃、72時間後の飽和水量で比較すると、ジエチレングリコールエステル1.0wt%でで大きな水分吸収量を示し、ヒンダードエステルは0.45~0.50wt%で、若干低く、セバシン酸ジオクチルは0.18~0.20wt%で最も低い吸水量を示しました。●加水分解安定性
ポリオールエステルは酸、塩基、酵素などによって加水分解することがよく知られていますが、これらのデータの大部分は均一系加水分解におけるものであり、潤滑油使用時に問題となるのは不均一系の実用的加水分解データを得るために、ロールスロイス法(エステルに対して10%の水を加え、90℃で振とうする)が用いられており、その結果によればエステルは良好な安定性を示しました。
エステルの加水分解安定性は、エステルの純度や品質に大きく左右されます。通常の使用条件下では、エステル中に混入する水量と加水分解速度との間には、不均一系であるために相関がなく、エステルの加水分解はエステル-水の界面の面積と相関があり、静止系での水の混入はあまり問題とはなりません。