塗膜の付着性を評価する方法の一つ。
JIS K 5600-5-6(1999)「塗料一般試験方法―第5部:塗膜の機械的性質―第6節:付着性(クロスカット法)(ISO 2409)」に規定されていて、碁盤目状に素地に達する傷を入れた塗膜を、セロハン粘着テープの粘着力を用いて強制はく離させることにより、塗膜の素地への付着性および塗膜の層間付着性を評価します。
JISに「この方法を付着性の測定手段とみなしてはならない」と記述されているように、あくまで付着性の良否を判定する定性的試験方法になります。
カットの間隔は、膜厚および素材によってことなり、
0~60μm :硬い素地の場合1mm間隔
0~60μm :軟らかい素地の場合2mm間隔
61~120μm :硬い、軟らかい素地の両方とも2mm間隔
121~250μm :硬い、軟らかい素地の両方とも3mm間隔
の縦横5×5=25ますのクロスカットを行います。
試験結果は0~5に分類され、評価します。
重防食塗装系のような厚膜や無機ジンクリッチペイントを含む塗装系での評価では、JIS規格にある、1~3mm間隔を用いると、クロスカット時に発生する応力により付着力とは関係なく塗膜が欠落する場合があるため、JISには規定されていませんが、5mm間隔の縦横3×3=9ますのクロスカットで試験を行うことが適しています。
JIS G 3312(2008)「塗装溶融亜鉛めっき鋼板および鋼帯」、JIS G 3318(2008)「塗装溶融亜鉛ー5%アルミニウムめっき鋼板および鋼帯」、ASATM D 3359 ”Standard Methods for MEASURING ADHESION BY TAPE TEST” などでは1mm間隔の縦横10×10=100ますのクロスカットを行う方法が規定されています。
碁盤目試験は、テープによるはく離であるため、斜め方向にはく離の力が働くので、塗膜には垂直引張力とせん断力も同時に受けることになります。したがって、塗膜の付着力とともに靭性(脆性)も評価することになります。