トルレンジイソシアネートと水酸化物(例えばヒマシ油、ポリエーテル、ポリエステルなど)を反応させ、NCOの過剰の付加物とします。このものが塗装されると、イソシアネート気が空気中の湿気と反応し、まず、水とイソシアネートとの相互作用によってアミンを形成します。次にこのアミンとイソシアネートが素早く反応し、尿素を作り硬化します。
したがって、この塗料は本質的に架橋するのに空気中の湿気に左右されるプレポリマーであるので、湿気に対し鋭敏であり、湿度が高いほど、また気温が高いほど硬化速度が速くなることになります。湿気硬化型ポリウレタン樹脂塗料は、主としてクリヤー塗料として用いられています。
湿気硬化型塗料に用いられるイソシアネート化合物のほとんどがTDI,MDIであるため、塗膜の対黄変性、耐候性が悪いです。それに対して、非黄変性の脂肪族イソシアネート化合物を用いた塗料も開発されていますが、塗料の効果速度(乾燥性)が著しく低下する欠点を有しています。
ほどんどの顔料は水分を含んでいるため、一般法ではエナメル化は難しいです。エナメル化のためには顔料中の水分を特別な方法で脱水しなければなりません。この塗料の特徴は二液型に近い塗膜性能を持っており、耐摩耗性、可撓性、耐久性、耐水性、耐薬品性などに優れているため用途としては工場の床、滑り止め塗装、コンクリート貯蔵タンク、水泳プールの塗装、木工用などに使用されています。