《沈殿》
塗料の貯蔵中に主として、顔料が凝集を生じたり、また比重の高い顔料が粘度でささえることができない場合などに沈降して、展色材と分離し、沈降した顔料が撹拌によって容易に回復できずかたまってしまう現象をいいます。
一般に顔料の含有量の高いつや無し塗料や、各種さび止めペイントなどに生じやすく、塩化ビニル樹脂エナメルのつや無し塗料もこれを生じやすい塗料になります。
この沈殿を生じたまま、塗装すると配合のバランスがくずれており、所定の目的を達することができず塗装面の欠陥へと発展してしまう危険があり、十分撹拌して、均一になった状態で使用します。
撹拌で容易に均一にならない塗料は使用すべきではありません。《ぶつ》
塗料中に顔料粒子が凝集したり、樹脂が反応したりして生じたつぶ状の粗大粒子が発生することを「ぶつ」といいます。
ぶつの発生は塗料全般に発生しやすい現象でありますが、特に合成樹脂調合ペイントの場合は、展色材である調油性アルキド樹脂がドライヤと反応して生じることが多く、長期間貯蔵した塗料に発生することが多いです。ぶつが発生した塗料を塗装した場合、塗膜表面に不均一なぶつが発生し、光沢低下、色分離などを生じます。
これらの発生したぶつは、うすめ液によって溶解することができず、塗料をろ過などの方法でぶつを除去しなければなりません。《色わかれ》
容器を開缶したときに、塗料中の顔料が分離して塗料表面の色がまだらになったり、塗料表面と下層の色が違ったり、斑紋を生じる現象をいいます。
この現象は顔料の分散不良や再凝集によって生じるものでありますが、塗料を撹拌すると容易に均一になる場合と均一にならない場合があり、前者の場合は使用前に撹拌することによって使用可能でありますが、後者の場合は撹拌しても塗装すると色むらを生じるため、使用することができません。