スズめっき鋼板、いわゆる“ぶりき”は、飲料缶を含む食缶用金属材料として多く用いられています。ブリキ缶の腐食は、スズめっきのピンホール部からの素地鉄の溶出によって支配されることがわかっています。よって、ぶりき缶の寿命向上には、このようなピンホール部、すなわち鉄露出部の低減が耐食性向上にとって重要であり、化成皮膜によるカバーリングが必要となっています。
これまで皮膜化成処理剤は、クロメート処理とリン酸スズ処理が実用化されていますが、環境上の問題により、徐々にリン酸スズ処理に移行しつつあります。
リン酸スズ処理の加工液はリン酸と酸化剤を主成分としています。処理後の表面は、X線光電子分光分析により、スズ-リン-酸素の元素組成からなる暑さ2~3nm程度の皮膜がほぼ全面にわたり覆っているものと考えられています。
また、最近では加工液にキレート剤を添加することにより、スズのエッチングを促進し、効率的に化成皮膜をピンホール部に析出させ、皮膜化成処理後の鉄露出度を低減する技術が確立されています。なおこの技術は、特に鉄の露出が多いぶりきD&I缶にて起用されています。