《下塗塗料(プライマー)の設計》
下塗塗料の設計は、マグネシウム合金との付着性、上塗塗料との層間付着性、素材欠陥の探査性、カバー性、研磨性など極めて重要な役割を持っています。
付着性については、化成処理面に対する付着性はもちろんでありますが、パテ研磨した時の化成処理が取れて、マグネシウム素地が露出した部分への付着性、成型時に巻き込まれた離型剤残存部への付着性が、大きな問題となってきます。マグネシウム素地及び上塗塗料に対する付着性のためには樹脂特性からみて、メイン樹脂にエポキシ樹脂が適当であります。エポキシ樹脂の分子量・分子量分布・官能基の種類・濃度・ガラス転移点(Tg)等の最適化、および硬化機構・架橋密度・硬化特性等の制御から設計する必要があります。
また、表面欠陥(巣、クラックなど)の影響で、他の素材に比べ塗膜を焼き付け塗装した時フクレ(気泡)が発生しやすい素材でもあります。フクレ(発泡)対策については、塗料の内部溶剤・硬化機構・硬化特性などの制御から設計する必要があります。
表面欠陥の探査性では、素材表面の小さなヘコミ、クラック、ワレなどの目視では見つけにくいものに対しては、艶が高く、吸い込み、膜厚による濃度差が出やすいプライマーが有効になります。
表面欠陥のカバー性では、硬さ・粒径・形状などの選定されたフィラー及び樹脂ビーズを含有させて、充填性、体積収縮率などを制御しうる反応硬化挙動を示す配合処方が必要になります。
《上塗塗料(トップコート)の設計》
上塗塗料の設計は、従来概念の素材の保護、美粧性、付着性のほかに、耐薬品性・耐人工汗性・耐摩耗性など特殊な塗膜性能が要求されます。また、消費者の趣向にあった色調・高級感・触感が要求されます。
携帯型情報機器向けとして使用されることが多いため、メタリック調、パール長の色調が主流となっています。このため、塗料に求められる性能も厳しくなるため、メイン樹脂の選定、原材料の選定が重要になります。