塗膜下腐食とは、塗膜の下で起こる腐食をいいます。Funkeは塗膜下腐食によるさびやふくれの発生機構について以下のように説明しています。
〈ⅰ〉水蒸気(水分)と酸素が塗膜を通過する。酸素の透過速度は水に比べて遅い。塗膜と鋼材界面に水分層が形成される。
〈ⅱ〉塗膜下の鋼材上に局部電池が形成され、アノードではFe2+、カソードではOH-がそれぞれ生成される。Fe2+とOH-により水酸化鉄が生成し、沈殿する。2価の鉄化合物は塗膜を透過した酸素によって容易に3価に変化する。
〈ⅲ〉塗膜下に形成されたさび層により酸素透過が抑制され、アノードに変化し、水の浸透によりふくれが発生する。
〈ⅳ〉カソードで生成したOH-とアノードから拡散してきたFe2+が反応し、カソードにさびが形成されるとともにふくれが成長する。
なお、塗膜のふくれは塗膜下腐食以外に浸透圧や塗膜の膨潤によっても発生すると言われています。