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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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水産養殖塗料



昭和57年に200海里経済水域が制定されて以来、我が国の水産業は沿岸漁業に負うところが大きく、「採る漁業」から「栽培する漁業」への転換が迫られています。
 従来水産資源の養殖には、肥料や飼料などの栄養分の海中散布が行われてきましたが、海流に流されたり、希釈されたりするため効率が極めて悪く、しかも過剰に散布すると海水を汚染したり、水産物に被害を与えるなどの問題を抱えていました。
 これらの問題を解決するために開発された塗料が水産養殖塗料になります。
 水産養殖塗料は岩石やロープや網、コンクリートや鉄製の漁礁など適用基材に塗装するタイプが多いですが、あらかじめ棒状に固形化したものを海中に取り付けるタイプも市販されるようになってきました。
 水産養殖塗料は、塗膜からほどよい速度で、必要とする栄養分を長期間溶出させることができます。海藻の仮根が養生しやすく、栄養分の摂取効率もよくなるので成長も早いです。ノリやコンブ、ワカメなどの食用海藻類の養殖や、アワビ、ウニなどの養生板、漁礁や海中林における藻場の造成などの目的に使用されています。
 海水を汚染することなく水産資源の養殖効率を高めることができるので、海底漁場や海底牧場の造成に多く使用されてゆくものと考えられます。

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船底防汚塗料



海中にある構造物は、藻類や貝類などの生物付着が問題になることが多いです。船舶の船底部に付着した生物は船のスピードを減ずると共に燃料消費を多くするので、船底には生物の付着を防止する防汚塗料が塗装されています。防汚塗料は塗膜中に含まれる防汚成分が徐々に溶出して生物の付着を防いでいますが、従来型の防汚塗料は1年も経つとその抗力を失うとともに防汚剤の溶出した跡が穴になって船の摩擦抵抗を失うので、毎年ドック入りして船底塗料を塗り替える必要がありました。
 このような課題を解決する画期的な塗料が開発され実用化されています。この塗料はビヒクルにアクリル錫コポリマーを使用し、防汚剤と共に塗膜自体も徐々に溶出して、2年以上の防汚寿命が得られるようにしたものになります。塗膜自体が溶出しますので、生物の付着を長期にわたって防止すると共に、塗膜の表面が平滑になるので燃費も大幅に節約され“うなぎ塗料”と呼ばれています。
 原子力発電や火力発電施設は海水を機器の冷却に利用しますが、冷却用の海水導水管の内面に生物が付着して効果を損なうので内面塗装が行われています。塗装の種類には、塗膜の表面を硬くして生物の付着を少なくすると共に一定期間ごとに生物をかき落とすものと、防汚塗料とがあります。導水管用の防汚塗料には溶出成分のないものが要求され、シリコンなどを利用した塗料が試験されています。

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通気防水型塗料



省エネルギー型住宅やプレハブ住宅など気密性の高い住宅では、湿気の多い季節になると屋外と室内の温度差のために室内に結露を生じやすい。このため、カビが発生して居住性が損なわれたり、構造部自体の耐久性が低下するという問題が指摘されています。
 コンクリートを例に説明すると、中性化を抑制するためには水や炭酸ガスの遮断が必要であり、結露防止やコンクリートを乾燥させるためには水蒸気を通過させる必要があります。
 このような機能を持つ塗膜を形成する塗料を通気防水型塗料と呼んでいます。
 水蒸気通過性の高い塗膜はエマルション系のビヒクルに多量の顔料を配合することによって容易に作ることができます。しかし微細なクラックのある脆弱な塗膜になるため、水蒸気透過性の大きな塗膜になる反面、水や炭酸ガスの通過も多くなり、通気防水型塗料の機能を満足させることはできません。
 このためいくつかの工夫が施されています。たとえば、所定の粒子径からなるコロイドシリカをビヒクルの一部に使用することによって、塗膜層内の細孔を水蒸気透過に有利な状態にしておくとか、シリコーン浸透剤やシリコーンで変性したエマルションを使用することによって、表面に撥水性を持たせる、などになります。

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