実用されている可溶性顔料はクロム酸塩系顔料がほとんどであり、ジンククロメート(ZPC型・ZTO型)、ストロンチウムクロメート、バリウムポタシウムクロメートなどがあります。
これらの顔料はクロム酸イオンを溶出し、その強酸化性によって金属面を不動態化し防食効果を示します。鉄鋼のほかに亜鉛、アルミニウムなどの防食に利用されます。クロム酸塩顔料はある程度水に溶解する必要があります。
顔料の種類によってクロム酸含有率と溶解度に差がありますがビヒクルの種類と顔料の配合を適切に選ぶことにより、塗膜からの溶出速度と耐水性を良好な範囲に調節しなければなりません。
塩素イオン、硫酸イオン、硝酸イオンなどの存在はクロム酸イオンの防食作用を妨害するため、顔料中にこれらの有害物質が不純物として含有されないように注意しなければなりません。また塗膜が十分な遮断機能を維持し、外界からこれらのイオンが塗膜下に浸入することを防止する必要があります。さび止め顔料の防食機能と塗膜の遮断機能は、相互に助け合って目的を達します。亜鉛イオンは、塩素イオンなどの有害作用を減少する効果を有することも知られています。