塩基性顔料は油性及び油変性合成樹脂などと反応して金属石けんを生成する性質の顔料であり、鉛・亜鉛の化合物が大部分です。金属石けんが塗膜中に生成することにより、塗膜の透過性や吸水性を著しく減少させる効果があります。これによって塗膜の遮断機能による防食効果は著しく向上します。
塩基性顔料を水中に懸濁した後、ろ過して調整した抽出液は防食効果を示すことが知られています。これらの抽出液は弱アルカリ性であり、緩衝作用を有することが知られており、このことにより鋼板面を腐食し難い状態に保つと考えられています。
また植物油を含むビヒクルと、塩基性顔料とから生成した金属石けんの抽出液が防食効果を有することが知られています。抽出液の成分の中でアゼライン酸鉛が非常に有効な成分であることが認められています。アゼライン酸鉛及びナトリウム溶液中に鋼板を浸漬した結果、鉛塩の方が防食効果が大きいことが認められました。このことも金属石けん(この場合は鉛石けん)がさび止め効果を有していることがわかります。