(1)鉛丹
Pb3O4を主成分とする橙色の顔料で、もっとも古くから優れたさび止め顔料として使用されています。Pb3O4の純度により等級が分けられており、塗料用としては純度の高い特号や1号が使用されます。Pb3O4以外の成分はほとんどPbOであり、Pb3O4の純度が低い2号や3号は活性が強く、塗料に用いたときビヒクルとの反応性が大きくなります。この顔料の防食作用の主なものは次の通りです。
a)ビヒクルの油と反応して鉛石けんを作り、緻密な塗膜とする。
b)PbOによるアルカリ性により、さび発生反応の陰極反応を抑える。
c)陽極酸化作用により鉄面を不動態化する。
油性系、長油系アルキド樹脂系ビヒクルと組み合わせて鉛丹ペイントとして最も実績があり、他の樹脂系のプライマーにも使用されます。ジンククロメートと併用されることもあります。(2)亜酸化鉛
Pb2Oを主成分とする暗灰色の顔料で、鉛丹に次いで古くから優れた使用実績があります。鉛丹よりも活性が強いので、元来は使用前に塗料ベースと亜酸化鉛を混合する現場調合形ですが、既調合形のものもあります。
非常に優れた防錆力を有しており、防食作用の主なものは次の通りです。
a)ビヒクルの油と反応して緻密な塗膜を作る。
b)浸透してくる水分や酸素と反応して腐食を防止する。
c)アルカリ性により陰極反応を防止する。
d)鉄面に作用して不動態化する。
用途は鉛丹と同様に鉄鋼構造物の新設、補修用塗料として広く使用されるほか、樹脂ワニスを用いたプライマーとしても用いられています。