(7)ジンククロメート
K2O・4ZnO・4CrO3・3H2Oの組成を持つZPC型と、4Zn(OH)2・ZnCrO4の組成を持つZTO型の2種類に分けられますが共に淡黄色の顔料です。ZPC型は防食効果は大きいですが水可溶分が大きいので、耐水性のよいビヒクルを用いる必要があります。このためボイル油をビヒクルとした油性系に用いることはなく、油変性アルキド樹脂、フェノール樹脂などとともに用いられます。一方ZTO型は通常のさび止め用としてではなく、ブチラール樹脂、リン酸との組み合わせで金属前処理塗料(エッチングプライマー)に主として用いられます。
ジンククロメートの防食作用は、次の通りです。
a)クロム酸イオンの作用により、金属表面を不動態化する。
b)顔料成分の塩基性物質により、金属面にアルカリ性雰囲気を作る。
c)クロム酸イオンにより腐食生成物を酸化して不溶性とする。
ジンククロメートは軽金属・亜鉛など非鉄金属の防食にも多く利用される。(8)亜鉛末
亜鉛金属をそのまま粉末としたもので、成分のほとんどが金属亜鉛です。亜鉛とビヒクル、腐食性物質との反応、鉄に対し卑の電位をもつことなどを利用したものです。以前は亜鉛末と亜鉛華を併用した油性及び油変性合成樹脂とのプライマーが使用されてきましたが、近年はほとんど使用されていません。一方高純度の亜鉛末と、最小限のビヒクルを使用したジンクリッチペイントが優れた防食性能を示すので、最近その使用頻度が増大しています。(9)無公害さび止め顔料
従来広く使用されているさび止め顔料は、その大部分が鉛や6価クロムなどの有害性の高い成分を含んでいます。近年環境保護、労働安全の高まりから鉛やクロムを含まないさび止め顔料の開発が進み実用化されたものも多いです。
代表的なものとしては
リン酸亜鉛
リン酸アルミニウム
モリブデン酸亜鉛
メタほう酸バリウム
シアナミド亜鉛
などが紹介されています。
これらは、まだ規格化されているものはほどんどなく、その防食機構も解明されているとはいいがたいです。防食性能も従来品よりやや劣る傾向にあり、配合量が従来の防錆顔料より多く必要となり従来型のさび止め顔料を使用する場合に比べコストも上昇する点など今後改善すべき問題も多いです。