【問題】
塗装下地用材として、亜鉛めっき鋼板を選定する場合、(1)~(3)の要求項目に対して、a~cの亜鉛めっき鋼板の種類の中から、優れているものの順位を記号で記し、かつ、順位をつけた理由を述べなさい。
(1)絞り加工性 (2)塗装後の外観 (3)塗装後の耐食性
a.電気亜鉛めっき鋼板 b.合金化処理亜鉛めっき鋼板 c.溶融亜鉛めっき鋼板
(ただし、いずれの鋼板も塗装下地用として、めっきの後処理、スパングルの調整などがなされているものであるとする。)
【解答例】
(1)絞り加工性 a>c>b
aはめっき工程で熱履歴がなく、素地鋼板の加工性能(または機械的性質)を期待することが出来る。
cは素地とめっき層との間に硬くてもろい合金層ができ、それが加工性に低下を及ぶす分だけaより劣る。
bはcの合金層をめっき後の後処理により、さらに進めた状態になり、cより加工性が低下し、めっき層表面が加工により粉化してしまうことも多い。
(2)塗装後の外観 a>b>c
aは表面が平滑に仕上がり、化成処理皮膜も均一に処理されやすく、非めっき板とほぼ同等の塗装後の外観が得られる。
bは合金化されているため、スパングルは全く生じなく、めっきとしての表面平滑度はcより若干良い。ただし、表面はaよりポーラスとなり、塗装後の外観も劣る。
cはスパングルの調整を行ったものでも(ゼロスパングルのもの)、合金化処理の表面と同等の状態にすることは、現状の技術ではまだ困難といえる。めっきの欠陥(湯じわなど)に合金化処理鋼板より目立ちやすい。
(3)塗装後の耐食性 c>b>a
塗装前処理のリン酸塩皮膜、使用塗料および塗装が同じ条件であれば、亜鉛めっきの耐食性はめっき量に比例する。
さらに、c、b、は溶融めっきでaの純亜鉛めっき層に比較し、亜鉛以外の金属を含み、その分だけ亜鉛の活性を抑えられている点で有利である。めっき量としてもcは片面で90~135g/c㎡が一般的であり、bは45~120g/c㎡、aは10~30g/c㎡が多く市場に出ている。