アクリル樹脂はアクリル酸、メタクリル酸のエステルあるいはそれらの誘導体を用いた重合樹脂で、その性質はモノマーの種類、配合量、重合度などに左右されます。一般にアルキル基の炭素数が増すと軟質となりますが、オクチル以上になると再び硬質となります。メタクリル酸エステルはアクリル酸エステルよりも硬質となり、硬くてもろいです。アクリル酸エステルは軟質でたわみ性が大きく、ブチルエステル重合体になるとかなり軟質で、半流動体になります。
▽熱可塑性アクリル樹脂
各種のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、あるいはスチレン酢酸ビニルなどを共重合して得られるもので、一般の官能基を含んでいません。モノマーの種類、配合は、要求される塗膜の付着性、たわみ性、硬度、耐候性などによって決められ、塗料化にあたっては、単独または変性が行われます。
(1)アクリル樹脂単独
(2)ニトロセルロース変性、硬度付与、耐ガソリン性向上など
(3)CAB(セルロースアセティトブチレート)、変性硬度付与のほか、耐候性(非黄変性)
(4)その他樹脂変性金属への付着性、耐薬品性、可とう性など向上
▽熱硬化性アクリル樹脂
熱硬化性アクリル樹脂には、アクリル共重合体の基本骨格内に活性官能基を導入し、加熱によって樹脂単独で硬化反応する自己反応型と、反応器を有する樹脂あるいは架橋材と反応して硬化するブレンド硬化型とある。
(1)自己反応型アクリル樹脂
ポリマー側鎖の官能基が、分子間で加熱によりあるいは少量の触媒の添加で反応し、高い架橋度を持った網状ポリマーになるもの。
(2)ブレンド硬化型アクリル樹脂
ポリマー側鎖の官能基間では反応性が低いので、さらに官能基を持った他の物質を混合し、加熱により(必要ならば触媒を添加)混合物との間で架橋して網状ポリマーを形成するもの。