【問題】
試験用塗料を採取することは、熟練を要し、以後の試験の結果に関係する重要な問題である。試料採取に際しての要点を述べなさい。
【解答例】
試験用塗料を製品から採取する場合、以後実施される試験の結果に影響するところが大きいので、十分な注意をもって熟練者によって行わなければならない。
その採取に当たっては、塗料に関する安全上の問題、すなわち、引火性、有毒性、帯電性などに関する各種法令を考慮しながら、規定に従って採取することが要点となる。また、試料採取の根本的な要点を次に示す。
(1)製品の均等な混合が行われること、またその製品を代表できる試料を採取すること。このことは、製品の状態いかんにかかわらず、すべてのものに対して原則として重要なことである。
(2)製品の中身の量目不足、漏洩、異臭、変色、皮張り、ゲル化、相分離、透明性、沈殿物の状態、再分散性、マーキングの誤りなどについて調べ、記録にさらに採取時に濾過したがどうかも付記しておくこと。また採取に当たっては、チキソトロピーとゲル化の性質も理解しておかねばならない。なぜなら、チキソトロピーは、温度が一定の時かき混ぜるとゾル状になり、静止するとゲル状になるようなコロイド分散体の可逆的な性質であって、塗料の欠陥ではない。しかし、ゲル化は液状のものが不溶性のゼリー状になることで容器の中に固まり、溶剤で薄めてかき混ぜたり、練り合わせたりしても一様に戻らない状態のもので塗料欠陥である。
(3)試料採取に使用する用具および試料の保管容器は、試料を汚染したり、変質させたりしない清浄なものであること。また同時に、試料によって侵されることがないものであること。採取用具は、液状のものにはポンプサンプラーとかオイルシーフなど粒状のものにはドライヤー、固状のものにはスクリューサンプラーなどがあり、それぞれの状態に応じた採取用具を使用しなければならない。
(4)採取量は、試験に必要な量とする。
(5)採取後は、すみやかに試験場所に送らなければならない。なぜならば、水分を含むような試料の中には、温度変化の影響を受け、品質劣化しやすいものがあるからである。