【問題】
建材の防食においても「性能」という概念を取り入れることの必要性について述べなさい。
【解答例】
建築物は絶えず日光、天候、温度、湿度、通風、水分を直接受けることになり、その度合いは場所や地域、地形により種々雑多であり、塗装系一つをとっても材料が物理的劣化する現象と相対的な初期品質の比較はできるが、定量的な寿命などの性能は推定すら難しい。しかし、現実の問題として、使用者側(例えば客先、建築設計者)から見るならば、塗装系の相対的な初期品質の比較などはあまり重要視されず、むしろ性能をある水準以上の状態である期間継続してゆく能力、いわゆる耐用性能、耐久性を定量的に明示することを望まれている。
しかし、この性能である耐用性、耐久性については、情報入手が困難で相当な労力と日時を必要とするだけにほとんど皆無に近い。
特に、建材など種々雑多な材料を数多く、かつ広範囲に使用されている今日、建材の防食において「性能」という概念を避けて通ることはできない状況にあり、この傾向は今後ますます強くなるものと思われる。
そのためには、製品を定期的にチェックし、データの積み上げを計り、また、従来の屋外曝露試験でも、平板のを対象とした試験から、異型加工、溶接加工された建材部材、組み合わされた部材などの試験を行い、その推定が可能になるようなデータ収集を行う必要がある。